英ファッションデザイナーのマリー・クワントさん日本初の回顧展が現在、渋谷の複合文化施設Bunkamura(渋谷区宇田川町)地下1階の美術館「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催されている。
デイジーロゴのコスメラインなどでも広く知られるファッションブランド「マリー・クワント」のデザイナーであるクワントさん。世界巡回展となる同展は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵の衣服約100点を中心に、小物や写真、映像などで、同ブランドのコスメが日本に上陸した1971(昭和46)年以前を中心とした、1955年~1975年の活動などをたどる。
1930年生まれのクワントさんは、1955年に後に夫となる故アレキサンダー・プランケット・グリーンさんらと若者向けのブティック「バザー」を開店。第1章「ブランドの構築」では、初期のデザインや現存する最も古い作品となる1957年ごろのペチコートスカート、バザーのショッパー、毎週土曜に代えていたウインドーディスプレーを手がけるクワントさんの写真などを展示。
1960年代には米百貨店チェーンや衣料メーカーの依頼を受けて既製服のデザインを提供し、クワントさんの構想だった大量生産が実現。1963年には手頃な価格の「ジンジャー・グループ」ラインを立ち上げ、ジンジャー(オレンジやブラン)、マスタード・イエローなどの色彩やトータルコーディネートを提案するなどした。第2章「成功の扉」では、アメリカのスポーツウエアから着想を得た上下を組み合わせられる同ライン初期のアイテムや、1960年にメディアに初登場して以降「徐々に短くなった」膝上丈のミニスカートのドレスなどが並ぶ。
第3章「グローバル化」では、1966年に商標登録したデイジーマーク、トレードマークとなっているジャージー素材のドレス、PVC(ポリ塩化ビニール)を使った「ウェット・コレクション」、アンダーウエアなどを紹介。1966年の大英帝国勲章授与式で着用した、女子学生風のベレー帽やクリーム色でジャージー素材のドレス、靴といった自身がデザインしたアイテムのコーディネートも展示する。
最終章は「ファッションの解放」。1960年代後半にはパンツスタイルなど「ユニセックス性」を追求。ツイッギーさんをモデルに起用したことでも話題になったという。同エリアでは、着せ替えができる「デイジー人形」やメッシュやカラーのストッキング、網タイツ、厚底靴、1966年に立ち上げたコスメラインなども紹介する。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は21時まで、入館はいずれも30分前まで)。入館料は、一般=1,700円、大学・高校生=1,000円、中学・小学生=700円ほか。2023年1月29日まで(同1日は休館)。