Jリーグ・FC東京の梶浦勇輝選手らが12月21日、渋谷区立神南小学校(渋谷区宇田川町)の体育の授業に参加しサッカーを教えた。
東京都が主催する「子どもを笑顔にするプロジェクト」の一環。9月から来年3月にかけて展開する同プロジェクトは、新型コロナウイルス感染症対策の観点から行事などでさまざまな制約を受けている都内の小中高校、特別支援学校を対象に、スポーツや芸術、伝統文化などの分野で、企業やプロ団体・人などの協力の下、「見る・聞く・触れる」体験を提供し、子どもたちを「笑顔にすること」を目的に取り組んでいる。
FC東京が子どもたちに運動の機会を提供するため行っている「スマイルキャラバン」を同校が希望し、訪問が実現。梶浦選手や、元日本代表で現在同クラブのクラブコミュニケーターとして活動している石川直宏さん、同クラブ普及部のコーチ3人が、3年生(3クラス計92人)の授業に参加した。
授業では、ボールの止め方やパスの出し方、ドリブルの練習、試合などを行った。梶浦選手は、「(ボールを捉える際に、点ではなくかかとから親指までで)『面』を作る」ことをアドバイス。石川さんは子どもたちの試合にも参加し、一緒にグラウンドを駆け回った。
梶浦選手は子どもたちからの質問にも答えた。サッカーを始めた時期は、スタジアムやテレビなどで試合を見たことをきっかけに5~6歳だと言い、練習時間は長くても2時間くらいであること、好きなプレーは「相手からボールを取る瞬間」などと答え、「好きな選手」には、似たプレースタイルの日本代表・遠藤航選手らを挙げた。
「好きな食べ物=すき焼き」「好きな家具=洗濯機」「小学校の時に得意だった科目=算数」など、サッカー以外の質問も寄せられた。カタール・ワールドカップを見ていた児童も多かったようで、同クラブの長友佑都選手が発した「ブラボー!」と声をかける児童も多かった。梶浦選手は「(言ったのは)俺じゃないけど」と苦笑いしつつ、「佑都さんがあのような場所で、36歳でもあんなに輝けるのは改めてすごいと感じた。身近で見て、プレーできたことが自分にとっても大きな財産」と話した。
梶浦選手は子どもの頃、渋谷を拠点にするサッカークラブ「FCトリプレッタ渋谷」に所属していたことから、「練習をしていた街ではあるので、ルーツはあるのかな」と言い、「子どもたちは元気なので、負けないように楽しくやることを意識した。サッカーをやることでいろいろな人と話す機会があると思うが、勉強とかもグループでやる楽しさをもう一回知ってほしい。自分もまだ18(歳)だが、昔の楽しさは段々忘れていくので、こういう機会を大事にして楽しんでほしい」と期待を込める。
石川さんは「(子どもたちが)笑顔になるためには、自分が笑顔になる。楽しんでもらうこともそうだが、自分も楽しむことは常に意識している。サッカーを好きな子もそうじゃない子もいるなかで、サッカーの楽しさをシンプルに伝え、試合では(授業で)やったことが出ることのサポートした」と振り返った。幼稚園からサッカーを習っていた石川さん。小学生のころは「体育の授業では率先してボールを奪いに行って自らゴールを決める、たぶん自己中な子どもだったんじゃないか(笑い)」とも。
同校に隣接する区役所で公務に当たっていた長谷部健渋谷区長も視察に訪れた。「身近なスターが来てくれるのは一生忘れない思い出になるのは間違いない。街の掃除にも参加いただいており、心強く、ありがたい」とも。
同クラブは同プロジェクトの一環で今月15日、渋谷区立富谷小学校(渋谷区上原1)でクラブが発行する体育授業の教材「あおあかドリル」を使った授業も行っている。