渋谷区は11月1日、区のスマートシティ推進に向けた産官学民連携組織「シブヤ・スマートシティ推進機構」を設立した。
スマートシティは、デジタル技術を活用し、街の課題を解決することで生活者の利便性・快適性向上を実現する都市・地域を指す。
区は、日進月歩のデジタル技術やデータを活用して、生活者や来街者、在勤者などの「生活の価値」を向上させ、それを地域の力に変えていくために産官学民連携で「一緒に育てていく場を設けて活動していきたい」と組織を立ち上げた。
渋谷には企業や人が集積し、それぞれが新しい開発や取り組みを生み出すなか、渋谷区のデジタルサービス部スマートシティ推進室・室長の加藤茜さんは「それをつなぐことで、面として大きな取り組みや生活が変わるものが生まれる可能性があるのでは」と考えた。
街の課題や価値につながることの検討から実際にアクションにつなげることまでを会員と一緒に行っていく。具体的には、「安心・安全」、リアルとバーチャルそれぞれの空間活用、参加・交流できる遊びや文化の創出、データの収集・利活用の仕組みの検討など、9つのテーマでワーキンググループを設定。ブラッシュアップし実装を目指す。テーマは今後アップデートしていく予定。
ゼロベースから施策を生み出すことも行っていくが、各社・団体などがすでにスタートしているサービスなどとも渋谷での導入を推進。「渋谷5Gエンターテインメントプロジェクト」など区内で活動する団体などとも連携を図っていきたい考え。機構の活動時間は決めておらず、各プロジェクトに合わせて随時街実装を図っていく。
同機構の会長には東京大学大学院工学系研究科・教授の森川博之さんを、副会長は一般社団法人スマートシティ・インスティテュート専務理事の南雲岳彦さん、フェローには東京都市大学総合研究所・教授の葉村真樹さん、有理舎主宰で前四條畷市副市長の林・小野有理さんを、それぞれ迎えた。同日時点での会員は正会員49社、賛助会員は9社の計58社で、ホームページから参画希望の企業や団体を募集している。
加藤さんは、「渋谷という都心部の街でやるからには世界を引きつけるような都市、資するような取り組みを生み出していきたい。渋谷の強みはいろいろな組織や人、行動、物に出合えることなので、『一緒にやりたい』という人たちが集まるように活動していきたい」と意欲を見せる。