タレントのryuchellさんと長谷部健渋谷区長が11月10日、現在開催中の都市フェスティバル「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(SIW)2022」でトークイベントを行った。
渋谷の街を舞台に、産官学民が参加し、カンファレンスや体験コンテンツを通して多様なアイデアが生まれ形になることを目指す同フェス。
同フェスでは2020年から「Respect is Knowing(尊重は知ることから生まれる)」をコンセプトにした動画を制作し、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを普及させる活動を行っている。今年は、尊重することで生まれる「新しい発想」や「共感」、それを応援し合うことで「多種多様が当たり前となる未来」につなげる思いを込めている。今回は、「DIVERSITY CITY SHIBUYA ? 当たり前ってなに?」と題し、「多様性を尊重する街づくり」や街に「集まる個性」などについてトークした。
「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を基本構想に掲げ、ダイバーシティとインクルージョンを軸に街づくりを行っている長谷部区長。2015(平成27)年に、同性カップルに男女の婚姻関係に相当する関係を認める「パートナーシップ証明書」の発行を始めた。当時は「批判もあった」と言うが、現在は日本各地に広がっていることを例に「多様性を理解しようとする空気は広くなってきたのかな」と手応えもうかがわせる。
ryuchellさんは、2018(平成30)年の同フェス初開催時に「渋谷ダイバーシティエバンジェリスト(多様性伝道師)」に就任。各所でダイバーシティに関する発信をしている。8月にモデルpecoさんと婚姻関係を解消し「人生のパートナー」として暮らしくことを発表し注目を集めた。昨年独立し個人事務所を立ち上げたことに触れ、「自分も成長した分、自分の進んでいきたい人生の方向性などを見つめ直して新しい家族のかたちで頑張っていこうと思った」と振り返った。ネット上などで賛否さまざまな意見が挙がったが、「こういう所に出るとぶりっ子して話すし、ちょっと猫をかぶっているので、それを見て言われても。一緒にご飯に行ったことがない人に言われても全然響かない。割り切って仕事をしている」と言う。
長谷部区長とryuchellさんの共通項となるのは「原宿」。原宿に憧れ上京しショップ店員として働いていたryuchellさんは、個性的な格好をした人なども「原宿だから許されている」と「香り、キラキラ感、歩いている人」などを街の魅力として挙げた。それに対し、原宿エリア出身・在住の長谷部区長は、かつて「田舎で何も無かった」と話し、地方から移住した人が多く住んでいることから、さまざまな人を受け入れる「素地がある」と見解を述べた。その背景には、同エリアが、明治神宮の表参道という日本の伝統をベースに海外などの文化が集まっていることを挙げ、「変化を良しとする街だが、街の芯がしっかり変わらないことも重要なのかな」と続けた。それが「如実に表れている」として恵比寿も挙げた。
多様性を語る際には「本当の多様性」を同時に考えることが必要と考えるryuchellさん。時には「理解できないこともいっぱいあるけど、僕が理想とする『芯はあるがしなやかで柔らかい大人』というか、『こういう人もいて良い』と、認める姿勢を大事にしている」と話す。長谷部区長も「調和して互いを認め合っていくことが大事。引き算したりかわしたり、しなやかに対応していくことだと思う」と同調した。