全国の「タナカヒロカズ」さんが一堂に集まり、同姓同名の世界最大集結数のギネス世界記録に挑戦するイベントが、10月29日午後、渋谷のイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」(渋谷区渋谷1)で開かれた。
イベントの「ほぼ代表幹事」を務めるのは田中宏和さんで、同姓同名の名前に縁を感じ、1994(平成6)年から、漢字違いの「タナカヒロカズ」さんも含めこれまで182人との出会いを経てきた。「自分では選べない不思議な人」と感じる田中さんたちとの出会いを通じ、同姓同名を通じた活動を「田中宏和運動」と称し、一般社団法人「田中宏和の会」の代表理事も務めている。
この日挑んだのは、2005年に米・実業家でカリスマ主婦としても知られるマーサ・スチュワートさんが打ち立てた、「164人のマーサ・スチュワートの集い」の世界記録。過去2度の挑戦を経て、今回が3度目の挑戦となった。ギネスの規定の変更に伴い、「漢字が違っても、読みがタナカヒロカズならOK」という「追い風」もあり、集まったタナカヒロカズさんらが、165人で記録達成という偉業に挑んだ。
この日は15時ごろから、タナカヒロカズさんたちが受付で身分証明書を見せるなどして続々と会場入り。タナカヒロカズの名前は、結婚で苗字が変わっても、旧姓を確認できる書類があれば記録に反映されるという。受付ではスタッフが身分証明を確認後、ゼッケンを配り、受付修了証とカードホルダーを手渡していった。
会場では、「新規」のタナカヒロカズさんが到着するごとにステージで紹介。「ほぼ代表幹事」のタナカヒロカズさんと名刺交換し、その場で「書記長のタナカヒロカズ」「調達のタナカヒロカズ」さんなどの呼び名を命名していった。全国から続々とタナカヒロカズさんらが駆け付けたが、ハノイからイベントのために帰国した会社員の姿もあった。
16時20分の段階で、集合人数は世界記録を目指す指標となる165人に。スタッフから「165人目、来ました」というコールが入ると、会場から大きな拍手が起こった。新潟で日本料理仕出し店を営むタナカヒロカズさんは「割烹のタナカヒロカズ」と命名された。最高齢のタナカヒロカズさんは「新幹線のタナカヒロカズ」と名付けられた。冠命はほかに、「ドナルド」「ヘルシー」「脳科学」「食いしん坊」「火消し」など。
受付が完了し、ステージ上での紹介が終わると、記録挑戦会場となる同じビル8階の「ヒューマントラストシネマ渋谷」に移動。記録に挑戦するタナカヒロカズさんたちが番号順で隊列を組み、IDチェックを受けた後、場内に移動した。
ギネス記録は、「立会人」として長谷部健渋谷区長も同席するなか、17時34分に計測を開始。記録挑戦タイムは5分間で、ギネスワールドレコーズジャパンの公式認定員が人数をカウントしていった。5分のカウントを終え、認定員が「本日集まったタナカヒロカズさんの数は178人です」と発表すると、会場から拍手が沸き起こった。「同姓同名の最大の集まり」の世界記録が達成となり、公式認定書が「ほぼ代表幹事」のタナカヒロカズさんに手渡された。最年少は3歳、最高齢は80歳だった。
「ほぼ代表幹事」の田中さんは「頑張らなくても5分間ここにいるだけで世界一になれた。そんな、ある意味ばかばかしい、脱力するような見本を作れた。皆さんコロナでもいろいろあると思うが、『うわー、こんなばかばかしいことする人がいるんだ』と笑ってもらえたらうれしい」と話した。
記録達成後、同姓同名の縁で集った178人は懇親会の場で交流を図った。