昨シーズンで現役を引退した元サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)・広瀬健太さんの引退セレモニー10月24日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で行われた。
広瀬さんはSR渋谷での9年を含め14年プロとして戦い、昨シーズンで現役生活に終止符を打った。同館はSR渋谷のホームアリーナであると同時に、大学時代を過ごした母校(の体育館)でもある。
セレモニーでは広瀬さんの半生を振り返ったほか、渡邉裕規選手(宇都宮ブレックス)や岡田優介選手(アルティーリ千葉)、満原優樹選手(佐賀バルーナーズ)、伊藤駿選手(秋田ノーザンハピネッツ)、元選手の青野文彦さん、ロバート・サクレさんら元チームメート、清水良規さん、長谷川健志さんら広瀬さんを指導した監督ら約20人からコメントが届いた。日本代表時のアシスタントコーチ(AC)だった佐々宜央さん(宇都宮ブレックス・ヘッドコーチ)は「依頼は来ていなかったが気持ちを伝えたかった」とメッセージを寄せた。
加えて、SR渋谷に特別指定選手として在籍した島根スサノオマジック(以下、島根)・阿部諒選手、元チームメートで現在SR渋谷のACを務めてる木下博之さん、SR渋谷・ベンドラメ礼生選手から花束が渡された。ベンドラメ選手は昨シーズン最後の試合を引き合いに出し、「僕はあの時、広瀬さんが引退することを知っていた。だからこそコートの上で泣いている姿を見て僕も泣きそうになって目を背けた。あの時抱きしめてあげれば良かったと、あの後すごく思ったので今抱きしめて良いですか」と断りを入れてハグを交わした。激しい練習をするなかで、西野曜選手に「一方的に掴まれて倒された」というエピソードも明かした。
多くのファンも参加。「現役の時より24番(のTシャツなどを)来ている人多かったんじゃないかな」と喜びを表現した広瀬さん。「監督、コーチ、チームメートに恵まれた14年間だった」と現役時代を振り返りつつ、「元気な体に生んでくれて育ててくれた両親と、ずっと支えてくれた妻に一番感謝したい」と目に涙を浮かべる場面もあった。
Bリーグのシーズン中となる現在。SR渋谷はこの日、広瀬さんの出身地・島根を拠点にする島根と対戦。「とにかく勝って良い気持ちでセレモニーやりたかった」(石井講祐選手)と選手たちも思いを抱えながら戦い、延長戦の末勝利した。
広瀬さんは「サンロッカーズの良さが出た。全員がハッスルし続けて相手の体力を削ったと思う。理想的なゲームをしていて、見ていて熱くなった」と感想を述べ、「再延長にしてセレモニーを止めさせるつもりなんじゃないかなって思った」と笑った。この日欠場していたライアンケリー・選手のプレーを「久しぶりに見たかった」とも。
今後のSR渋谷には「良い立地を拠点にしているが、やっていることは泥臭いのでそれを忘れずにやってもらいたい」と期待を込める。現在SR渋谷は24番が欠番となっているが、「自分自身あまり背番号にこだわりが無かったので、付けたい人が付けてくれれば」と言及した。
現在は会社員として働いている広瀬さん。「何かを説明する時の言葉遣いや用語など、ビジネスルールも理解していなかったので、まず知るのが大変だった」と言い、「まだ社会というものを勉強しているところ」と話す。週末が休日になり家族で過ごす時間も増えたが「(子どもたちは)喜んでくれていると思うが、土日が短く感じる。『サザエさん』が嫌いになる」と笑いを誘った。
バスケットボールとの関わりについては、「ライフワークかもしれないので、きっぱり離れることは無いかと思うが分からない。何かきっかけやチャンスがあれば戻ってくるかも知れない」と話した。