英・現代アーティスト、ジュリアン・オピーさん初のVR(バーチャルリアリティー)作品個展「OP.VR@PARCO」が10月21日から、渋谷パルコ(渋谷区宇田川町)4階の「PARCO MUSEUM TOKYO」で開催される。
1958年ロンドン生まれのオピーさん。風景や人物などのモチーフを、ピクトグラムやアニメの表現を連想させるシンプルな描画や色彩表現で簡略化し表現するスタイルの作品で知られる。作品は、ニューヨーク近代美術館や大英博物館、東京国立近代美術館など国内外の美術館に収蔵されている。近年では、英ロックバンドBlurのジャケット、英国ロイヤルバレエ団やアイルランドのロックバンドU2のステージデザインなども手がけている。
今回の展示に当たり来日したオピーさんは、渋谷の印象について「とてもエキサイティングでダイナミックな街。サインやビル、スクランブル交差点を歩く人など、視覚的にも面白いものがあってつい写真を撮ってしまう。『視覚的文化』が根差している。シンボルや色があふれていて絵画的で刺激的(いる人も)。いる人たちも映画の登場人物のようにおしゃれ」と話す。
これまでも彫刻やペインティングなどで「バーチャルな世界を表現している」が、自身初のVR作品展となる今回。展覧会を計画する際、過去には段ボールなどで、現在ではCGで模型のようなものを作っていると言いうが、技術が発展するなかで、VRのヘッドセットはケーブルなどがなく「自由度も高い」ことから、展覧会そのものにも「使えるのでは」と考えたという。テクノロジーは日進月歩であることから「ほかのアーティストがやる前にアドバンテージを取ろうと早く取り組んだ」。
場内に実物の作品展示はなく、白い壁に囲われた空間となっている。来場者はヘッドセットを装着し展示を見て回る(体験時間は15分程度)。5年ほど前に作った映像作品が基になっているVR作品は、点数は非公開だが、過去の作品から近年の作品まで複数の作品を見ることができる。中でも自身のアシスタントをモデルに制作した「DAVE(デイブ)」という作品は、VR限定の新作だという。
オピーさんは作品について、「非常に新しい体験だと思うが、突拍子ないわけでもなく現実世界とともに存在するパラレルワールドのようなもの」と説明。ギャラリーに似たような空間に仕上げるなど「見慣れたものを持ち込んで」作っている。
「自分が面白いと感じるもの、興味を中心に」、過去のアーティストやさまざまな文化、ピクトグラムなどを混ぜ合わせて作品を作るオピーさん。「自分が見たいものを、もしかしたら他の人が見て楽しんでくれるかなという思いで作っているので、見てもらえたらうれしい」と話し、「ここを出た時に店や建物など現実の世界が新しく見えることもあるのでは」と考える。「できたら、自分がとても良いアーティストだと思ってほしい(笑)」とも。
併設するショップではオリジナル商品を販売。日本のファッションブランド「YOKE」とコラボレーションしたTシャツ(全8種類、各1万1,000円)や、同展のキービジュアルやVR映像に登場するビジュアルといった全5種類のポスター(B1サイズ、各8,800円)を、数量限定で用意する。
今月21日~11月26日には、外苑前エリアの「MAHO KUBOTA GALLERY」(神宮前2)で「ダンス」を主題にした映像作品5点とペインティング8点の新作展も開催する。
開催時間は11時~20時(最終日は18時まで)。入場料は1,500円(事前予約制、物販エリアは入場無料)。11月14日まで。