東急(渋谷区南平台町)は9月2日、節目となる創業100周年を迎えた。
「田園都市」開発を目的とし、渋沢栄一が立ち上げた田園都市株式会社の鉄道部門を分離独立させる形で1922(大正11)年9月2日、同社の前身となる目黒蒲田電鉄が設立。1924(大正13)年に東京横浜電鉄を発足し、1926(大正15)年2月に丸子多摩川(現・多摩川)-神奈川間を開通。翌1927(昭和2)年8月28日、渋谷~丸子多摩川間(9.1キロ)を開通し、渋谷と神奈川を結ぶ全長23.9キロの「東横線」が誕生する。その起終点となる「東横線渋谷駅」の開業は、「都心(東)で働き、郊外(西)で暮らす」という新たな生活スタイルを加速させるきっかけとなった。
1934(昭和9)年11月1日、渋谷駅に地上7階の本格的なターミナルデパート「東横百貨店(東横店東館)」を開業。その後、1954(昭和29)年11月、建築家・坂倉準三が手がけた11階建ての「東急会館(東横店西館)」、東京五輪後の好景気の波に乗り1967(昭和42)年11月、旧大向小学校跡地に「東急百貨店本店」を開店。さらに1970(昭和45)年、西館の隣に「南館」を増築するなど、渋谷の街の発展とともに駅を中心に商業施設の規模を拡大してきた歴史を持つ。
2000(平成12)年以降、「建物の老朽化」「バリアフリーの未整備」など、街のあちこちにほころびが目立ち始め、同社を中心に「100年に一度」といわれる渋谷駅周辺の大規模再開発事業が始まる。東急東横線の地下化工事に伴い、2003(平成15)年に「東急文化会館」閉館。2012(平成24)年、その跡地に「渋谷ヒカリエ」を開業。翌2013(平成25)年、地下5階に東横線渋谷駅ホームを移設し、東京メトロ副都心線との相互直通運転が始まる。その後、地上ホーム跡地に「渋谷ストリーム」「渋谷スクランブルスクエア東棟」が開業し、渋谷駅周辺の大規模再開発は2027年度まで続く。同社の100年の歴史は、東横線や田園都市線などの沿線ほか、渋谷の街の発展に大きな役割を果たしてきた。
2019年9月2日、同社は「東急電鉄」を分社化し「東急」に商号変更。原点である鉄道事業との分社化に伴い、100周年を前に「新生東急」として交通事業に限らず、幅広い分野にさらにビジネス領域を広げるため新たな船出を切った。
高橋和夫社長は「東急グループは本日9月2日で創立100周年を迎えました。創業以来、交通事業・不動 産事業を基盤に、建設、生活サービス、ホテル・レジャーに至る幅広い分野において、お客さまの豊かさを追求したまちづくりを展開してまいりました。お客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまのお力添えをいただき、このたび、創立100周年を迎えることができましたことに心より感謝申し上げます。当社は、これからの社会課題にも向き合い、新しい価値を提供するという、脈々と受け継がれてきたDNAを継承して挑戦を続け、変化に対応してまいります。そして『美しい時代へ』というグループスローガンの下、これまでに培ってきた多くの事業の経験を生かし、次の時代も『楽しさ』『豊かさ』『美しさ』追求し続けてまいります」とコメントを寄せる。
同日、「東急100周年」を記念する特設サイトも開設し、プレゼント企画や記念乗車券の発売、東急電鉄各駅からの感謝メッセージなど、さまざまな記念企画を発表・公開している。