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東コレに「ネクストブランドアワード」 気鋭女性デザイナーらの作品展示

アンナ・チョイさん(写真中央)が手がける「HAENGNAE(ヘンネ)」

アンナ・チョイさん(写真中央)が手がける「HAENGNAE(ヘンネ)」

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 ファッションイベント「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッションウィーク東京)」の「JFWネクストブランドアワード」で審査員特別賞に選ばれた気鋭女性デザイナー2人の作品が8月29日~31日の3日間、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)8階CUBEで展示された。

大澤夏珠さん(写真中央)が手がける「natsumi osawa」

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 ファッションウィークを主催する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が今シーズン、新たなブランド支援プログラムとして始めたJFWネクストブランドアワードは、世界を視野に新人デザイナーの輩出を目指す。「TOMO KOIZUMI」デザイナーの小泉智貴さんや、雑誌「エル・ジャポン」、ファッション専門紙「WWD JAPAN」の編集者、記者らが審査員を務め、デザイン性や独創性、将来性、完成度などの観点で大賞となるデザイナーを選出。賞金100万円のほか、公式会場使用料などの免除など1年を通じてブランドを支援する。

 今回、デザイナー舟山瑛美さんが2020年に立ち上げた「FETICO(フェティコ)」が大賞に輝き、初日にフィジカルのランウェーショーの先陣を切ったが、ノミネートされたブランドの水準の高さから、急きょ審査員らが選んだ他の2ブランドも「特別賞」として作品を展示することになった。

 韓国にルーツを持ち日本で育ったアンナ・チョイさんが手がける「HAENGNAE(ヘンネ)」は、文化服装学院をはじめニューヨークやロンドンなど海外でもファッションを学んだチョイさんが、「愛(め)でる」哲学を貫き、たくましく生きるロマンチストに向け発信。愛と情熱の色としての赤、芯の強さを表す黒、それらを包み込むベージュをブランドのメインカラーに据え、ドレープやリボンモチーフのボウなどを多用し、デコラティブで繊細かつ力強く仕上げたピースが目を引く。

 会場では、2021-2022年秋冬に発表したデビューコレクション「Chapter1(チャプター1)」と、2022年春夏に発表した「チャプター2」、2022-2023年秋冬の「チャプター3」のルックの中から7体を披露。仏画家エドガー・ドガの「踊り子」をテーマにしたチャプター2の黒のルックは、ふわりとした装飾的なドレスに見える一方で「全て洗濯機で洗える」(チョイさん)という。

 パフスリーブのように腕に通す付け袖はバッグにもなるユニークな仕掛けで、「オートクチュールではなく、このブランドではリアルクローズも目指している。一部のアイテムをシンプルな白いTシャツなどに合わせるのもいい」と、日常でも着られる服を意識する。「コレクションを『チャプター』として発表しているのは、作り手として半年に一度のサイクルで服が消費されていくのは悲しいから。一生着られる服を作りたい」とも。2023年春夏の新作は10月に発表を控えているという。

 審査員特別賞を受賞したもう一つのブランドのデザイナーも新進気鋭の女性。大澤夏珠さんのシグネチャーブランド「natsumi osawa」は、2020年にブランドを立ち上げて2年目にして今回、審査員らの目にとまった。大澤さんも、ファッションを学ぶ人たちにとっての聖地、ベルギー・アントワープで学んだ経験を持つ。手がける作品は、古い着物をアップサイクルした一点物や、日本の絞りの技法から着想を得た、「和」を感じさせるものが多い。

 これまで一点物の衣装やアートピースに近い作品を中心に手がけてきたが、2020年に伊ファッションコンテスト「International Talent Support(ITS)」でファイナリストに選ばれたのを機に「個人でも着てもらえるリアルクローズも作ってみようと思った」(大澤さん)と、ブランド立ち上げの経緯を明かす。今回発表した新作は、ライトブルーやベビーピンク、ベージュなどのペールトーンが中心で、「チョウチョが飛んでいるようなヒラヒラしているイメージ」で作ったピースが並んだ。

 古着の着物を選ぶ際は、「(リメークの)仕上がりがイメージできるものを選ぶ。ペールトーンが多い」と言い、着物1着で使える限られた生地幅などを考え、「パターンは直線を生かし、立体感はドレープで出すなど工夫している」。絞り加工を施したピースは和を感じさせるものの、「例えばチェック柄は、和物でもあるが、合わせによっては洋風にもなる」と魅力に触れ、アシンメトリーに裾の一部をめくり上げたロングワンピースは「ドレスを着て階段を上るときに裾を持ってたくし上げる仕草がかわいいと思った」ことが着想源になるなど、自身の記憶をデザインのヒントにしているという。

 JFWネクストブランドアワードでは、今回選ばれた大賞と審査員特別賞の「フィジカル部門」のほかにデジタル部門「JFW デジタルグランプリ」も設け、賞金50万円を授与。大賞は9月末に発表する予定。

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