企画展「写真展 昭和のはじめの渋谷」が8月30日、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4)で始まった。
同館で年に1・2回開催している、過去の写真を展示する「渋谷むかし写真展」シリーズ。今年10月1日に渋谷区が施行90年を迎えることを記念し、渋谷区が成立した頃と重なる、昭和初期の渋谷区内の写真を紹介する。
今回は、東京都建設局協力の下、同局所蔵の写真も含め写真資料25点や、関連する地図資料などを展示する。東急百貨店や貨物駅構内で貨車の入れ替え作業をしている蒸気機関車などが写る昭和10年代前半の山手線渋谷駅~恵比寿駅間に架かる猿楽橋から北側を見たカットをはじめ、1978(昭和53)年の新幹線の開通とともに高架となった笹塚駅の1932(昭和7)年の写真、建設中の方南通りを収めた、現在の本町三丁目清水橋交差点から新宿方面を見た1933(昭和8)年の写真など。
学芸員の田原光泰さんが「驚いた」のは、1927(昭和2)年に開業したものの太平洋戦争中に被災し1946(昭和21)年に廃止された、小田急線南新宿駅と参宮橋駅間にあった山谷駅のホームが写った1938(昭和13)年の一枚。写真に写っているのはホームの一部のみだが、同駅が写っている写真を見たこと自体「初めて」だったと言う。線路を通すために同駅周辺は地面を掘られたと言い、現在は、豪雨時などには冠水する危険性がある場所(小田急線山谷架道橋下)として知られる。写真はそれぞれ、展示に合わせて撮影した現在の写真25点と一緒に展示し、対比できるようにしている。
区政90周年記念であることから、渋谷駅周辺だけでなく意識して区内各地の写真を選んだ。田原さんは「(区内を)満遍なく押さえているいるので、『家の周りにこんなのがあったんだ』など、広く区民の皆さんに喜んでいただけると思う」と話す。
開館時間は11時~17時(土曜は9時~)。入館料は、一般=100円、小学生=50円ほか。月曜休館(祝日の場合は次の平日が休み)。10月23日まで。