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原宿の浮世絵美術館で「浮世絵動物園」 犬猫、擬人化、想像上の生き物など

動物が描かれた浮世絵が並ぶ場内

動物が描かれた浮世絵が並ぶ場内

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 動物が描かれた浮世絵を展示する「浮世絵動物園」が現在、原宿の浮世絵専門美術館「太田記念美術館」(渋谷区神宮前1、TEL 03-3403-0880)で開催されている。

擬人化したネコが商売をしている「しん板猫のあきんどづくし」

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 子どもなど世代を問わず「楽しめる」企画として長期休みを含む時期に合わせて開催する同展。会場では「バラエティーに富む」動物表現がされている、絵師40人の作品172点(前後期各80点)を展示する。

 場内は4つのテーマで構成。第1章「江戸の町は動物だらけ」では、格子窓から外を眺めている猫が描かれている「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」(歌川広重、前期)、日本原産の犬「狆(ちん)」(葛飾北斎、後期)など、ペットとして飼われていた犬や猫、家畜であった馬や牛、魚介類など日常生活で登場する生き物に焦点を当てる。続く「動物の美と力」では、疱瘡(天然痘)除けの「疱瘡絵」として赤色で張り子のミミヅクと春駒を描いた「木菟(ミミヅク)に春駒」(歌川国芳)など、動物の姿形の「美しさ」や持つ「物語性」を捉えた作品が並ぶ。

 動物を描いた浮世絵の中でも「人気が高い」というのが、子ども向けに描かれた「おもちゃ絵」である擬人化作品だという。その一つである、シャボン玉やすし売りなど商売をしている猫を描いた「しん板猫のあきんどづくし」(歌川芳藤、後期)をはじめ、見世物となっていた舶来のインドゾウを描いた「中天竺馬爾加国出生 新渡舶来大象之図」(歌川芳豊、前期)、大きな目に笑っているかのような口元のトラを描いた作品で大判サイズを縦に2枚つなげる「掛物絵」という形式の「虎図」(菊川英山、前期)などは、「動物エンターテインメント」の章で紹介する。

 龍や妖狐など、歌舞伎や小説に登場する動物も描かれている浮世絵。「物語の中の動物たち」では、伝承に登場する石が元になっているトラと石が合体した「虎子石」が描かれている「東海道五十三次内 大磯をだハらへ四リ」(歌川芳員、前期)、十二支全ての生き物が合体した生物を描いた「家内安全ヲ守 十二支之図」(歌川芳虎、後期)などを展示する。

 学芸員の赤木美智さんは「浮世絵は高価なものから子ども向け、『疱瘡絵』のように鑑賞するだけでなく実用的な側面を持つ作品もある。だからこそ、浮世絵を通して(当時の人たちの)生活のあらゆる側面が見えてくるのでは」と話す。

 開館時間は10時30分~17時30分(入館は30分前まで)。入館料は、一般=1,200円、大高生=800円、中学生以下無料ほか。月曜休館(9月19日は開館、翌20日が休館)。9月25日まで(展示替えのため8月30日~9月1日は休館)。

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