アルバルク東京(以下、A東京)の吉井裕鷹選手やサンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)の井上宗一郎選手らが、「FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)2023」アジア地区予選(Window3)を戦う日本代表候補に選ばれた。
身体能力の高さを生かしたプレーなどが持ち味のアルバルク東京・小酒部泰暉選手
7月1日・3日に行われる同大会。日本バスケットボール協会は6月6日~12日に若手選手を中心としたデベッロプメントキャンプを、今月15日からは同大会に向けた直前合宿を行っている。デベッロプメントキャンプにはA東京から吉井選手、小酒部泰暉(おさかべ・たいき)選手、平岩玄選手、SR渋谷から井上選手が参加。直前合宿には吉井選手、小酒部選手、井上選手が参加している。
吉井選手は1998(平成10)年生まれ。身長196センチのスモールフォワードではあるが、デベッロプメントキャンプではセンターとして練習をしていたほか、パワーフォワードとしてもプレーができる。
柔軟性が求められるトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)のスタイルを「かなり新しく感じていて良い時間を過ごせている」と言う吉井選手。求められている役割として「機動力」を生かしたプレーを上げつつ、「試合に出た時に自分の役割とそれ以上のものが出せれば、どんな相手にでも対応し続けられるのかな」と考える。ホーバスHCは吉井選手を「結構強いフィジカルディフェンダー、面白いかな」と評価したが、吉井選手自身は「(ディフェンスを)強みにはしているが、スタンダードとしてやっている。頼りすぎずにいろいろなところに対応し続けられたら」とおごらない。
日本代表に対して「思い入れがありすぎると空回りする部分が出てくるので、これまで教わってきたバスケットを信じて、持っているものを出すこと以外はあまり考えないようにしている。自分が自分であることが大事なのかな」と考えを示しつつ、「選ばれ続けたら頑張っていきたい」と話した。
日本代表として戦うことを「夢であり目標の一つ」に掲げる井上選手は、1999(平成11)年生まれ。身長201センチのパワーフォワード。代表につながる合宿への参加が「初めて」で、最初は「緊張していた」と言うが、「絶対に選ばれたいという気持ちもあるし、自分がどれくらい通用するのかという気持ちもある。そういった意味で自分にとって大事な合宿」となっている今回。参加選手の中で2番目に若い世代となり「圧倒される場面もあるが学ぶことの方が多く、良い経験になっている」と言う。
当初「どういったことを求められているか分からなかった」と言うが、デベッロプメントキャンプでホーバスHCに「得意なことをアピールすれば良い」と言われ「吹っ切れた」。ホーバスHCがかねて「3ポイント(P)シュートが入る選手を探している」ことや、過去の代表戦での自身と同じポジションの選手のプレーを見返すなどして自身が武器とする3Pシュートを「積極的にアピールしていかなきゃいけない。高確率で決めることがすごく重要」と取り組んだ。
「徐々にチームに慣れつつ良い所を出せている、成果が出たかな」と好感触を得ている一方、「チームでクリエートしたシュートを打ちきる」ことと、これまで大学やSR渋谷でやってきたスタイルと「全然違う」ディフェンスの「スタイルに溶け込んで、チームディフェンスを遂行できる選手になること」を課題に挙げた。
ホーバスHCらは今月7日、世界でプレーする選手や東京オリンピックに出場した選手なども含めて約40人を本年度の代表候補として挙げていたが、選手の休息なども考慮しつつ、デベッロプメントキャンプに参加した選手も含めバランスなどを見て今大会の代表候補24選手を選んだという。ホーバスHCは、選手選考は「難しかった」と言うが、「良いメンバーが集まった。思ったよりも若い選手がステップアップした」と手応えを示す。
速い展開や3Pシュートを生かすプレースタイルを取り入れるなか、Window1・2の4試合を振り返り「ペースを上げたい」と言い、そのために「スチール(ボールを奪うプレー)を狙うなどディフェンスでリズムを崩し、速攻のチャンスをつくりたい」と話す。「日本の鍵」として挙げた3Pシュートは、4試合で成功率が20%台に留まっているが、「40%くらい必要。近くなれば相手関係なく(勝つ)チャンスがある」とも。
日本代表は今月26日にオーストラリアに向け出発(予定)し、7月1日にオーストラリア、同月3日にチャイニーズ・タイペイと対戦する。各試合のエントリーメンバー12人は、各試合前日までに行われるFIBAテクニカルミーティングの承認を経て決まる。