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サンロッカーズ渋谷・広瀬健太選手が引退会見 「バスケット楽しかった」

時折笑顔を浮かべながら14年間の現役生活を振り返った広瀬健太選手

時折笑顔を浮かべながら14年間の現役生活を振り返った広瀬健太選手

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 Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)の広瀬健太選手が6月10日、引退会見を行った。

広瀬選手のユニホームなどを身に着けたファンも見られた

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 1985(昭和60)年島根県生まれの広瀬選手。小学校4年の時に近所の「お兄さん」に誘われれたのを機にバスケットボール(以下、バスケ)を始めた。中学・高校時代から全国大会に出場し、青山学院大学時代には全日本大学バスケットボール選手権記念大会(インカレ)優勝なども経験。卒業後に入団したパナソニックのバスケ部「パナソニックトライアンズ」の休部を機にSR渋谷の前身となる日立製作所のバスケ部「日立サンロカーズ東京」に移籍。2016(平成28)年のBリーグ発足以降、SR渋谷でプロとして活動してきた。

 チームの休部という「ものすごく大きなショックを受けた」こと、天皇杯を3度優勝したこと、日本代表として「世界の強豪たちと戦った」ことなど、「いろいろなことを経験させてもらった」と14年間の選手生活を振り返った広瀬選手。「一緒にプレーした仲間にはすごく感謝している」なか、年を重ねてからは「若い選手とコミュニケーションを取ることが人間として成長できた」と話す。

 「全てを達成したわけではないが、全力は出してきたつもりなので後悔はない」と言い、現役最後の試合では残り0.1秒で2点を追うディフェンスの場面で起用された際には「難しいのは分かっていたが、どうにか逆転できないか」と最後まで諦めない姿勢を見せた。近年で「一番印象に残っている」試合は、外国籍選手1人の中逆転勝利したことから昨年2月10日の秋田ノーザンハピネッツ戦を挙げた。

 SR渋谷は渋谷区をホームタウンに、母校の体育館でもある青山学院記念館をホームアリーナに活動。大学時代には渋谷でアルバイトをするなど、チームの中でも渋谷に縁があったが、「渋谷が大好きなので、チーム名に背負い、ホームタウンとして活動できてうれしかった」とも。

 引退を決めたのは2021-22シーズンの終盤。2018(平成30)年に左膝の前十字じん帯を断裂する大けがを負って以降、毎シーズン「『今シーズンが最後だ』という思いで」シーズンを迎えていたが、「体も闘争心などの気持ちも、自分のイメージしているところと離れてきている部分があり、シーズン途中から『新しい道に進もうかな』という気持ちになっていった」。引退を発表した際には「サンロッカーズ以外でプレーすることは考えていなかった」とチームへの思いをうかがわせたが、「チームを転々することが好きじゃない。サンロッカーズにお世話になったのであればブレない何かを残したいという意味もあった」。チームメートにはシーズン終了後、食事会をした際に伝えたと言い、「労ってくれたし、悲しんでくれた奴もいた」と明かす。

 唯一、妻には引退の意向を伝えていて「やれるんだったらもっとやった方が良い」とも言われたが、最終的には自身で引退を決めた。6歳の長男・3歳の長女の父親でもある広瀬選手。「子どもが夢に思うくらいの年齢まではやりたかった」という思いが伝わったのか、長男はバスケ選手を夢見るようになった。現在はサッカーもやっているが「バスケでもサッカーでも、ピアノや芸術でも何でも良いが一つ打ち込めるものがあるといいな」と話し、「口を出しちゃうので(バスケは)逆にやってほしくない部分はある」と笑った。

 すでに今月から日立製作所の社員として不動産を取り扱う部署で働いている広瀬選手。「バスケットしかやってこなかった人生が嫌だった。新しいことに一からチャレンジした方がワクワクするのでは」とバスケから離れる道を選んだ。「新しいことに向かって頑張っていきたいという思いが強い。覚えることがたくさんあって大変」とすがすがしい表情を見せた。

 この日は会見と同時に抽選で選ばれたファン約100人を招いたトークショーも行い、「アンバサダーは丁重にお断りした」「(マスコット)サンディーはライバル」など、ユーモアを交えながら話し笑顔にあふれる会となった。「ファンの方に直接会ってあいさつできて良かった。寂しいと言ってもらえるくらい応援してもらえたのは本当に感謝している。エゴかもしれないが、『まだやれる』『もっと見たかった』と言ってもらえるうちに辞められたのは良かったかな」と感慨深げに振り返った。

 SR渋谷には9年在籍し、チームを象徴する選手となった広瀬選手。「力を精いっぱい発揮できる環境でできて、バスケット楽しかった」と話し、「生え抜きの選手がいるということは、長くいたいと思える素晴らしいチームだと思う」と7年目・ベンドラメ礼生選手や4年目・盛實海翔選手に期待を寄せつつ、「才能がある選手ばかりで、人間的にも素晴らしい奴がそろっているので影ながら応援したい」と今後のチームにエールを送る。

 引退に合わせ、直筆サイン入りのTシャツ(5,000円)などの記念グッズを今月16日(23時59分)まで受注販売している。

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