アーティストKAORUKOさんの個展「Femina(フェミーナ)」が6月1日、西武渋谷店(渋谷区宇田川町)B館8階の美術画廊などで始まる。
KAORUKOさんは、1982(昭和57)年にアイドル歌手・新井薫子としてデビューしたが、かねて「画家になりたかった」と1980年代末にアーティストに転身。1986(昭和61)年には白士会(日本画)で入選、1988(昭和63)年には童話作家の五味太郎さんに師事。1995(平成7)年に「パルコ アーバナート展」激励賞を受賞するなどし、2007年に渡米しニューヨークを拠点に活動。2012年には米アート雑誌「New American Paintings」で、アメリカで活動する注目のアーティストの一人として選ばれ、同誌の表紙を飾った。
フェミニズムとジェンダーをテーマに、江戸時代の浴衣の柄をシルクスクリーンにしたり、金箔(ぱく)を使ったり日本の要素を取り入れたアクリル画を手がけている。渡米後初めて日本で開催する本格的な個展となる同展では、ニューヨークで描いた作品を中心に、「現代を生きる女性を投影した」作品17点(46センチ×53センチ~152センチ×229センチ)を展示する。
1990年代中ごろに女子高生の間で流行した、股のぞきポーズをしている女性のキャラクター「K子」の新作は、渋谷駅前スクランブル交差点周辺を背景に描いた。同作品は、同7日から同店A館1館のショーウインドーにも展示する。
同展では、高校の同級生であり同じ「82期デビュー」でもある松本伊代さんをモデルに描き下ろした作品「IYO」(130センチ×80センチ)も展示。新型コロナウイルス感染症の流行でスタジオにも通えなくなるなどしたことから、「絵を集中して描きたい」と2020年に帰国し、徳島のレジデンスに滞在し制作活動をするなどしていたなか、テレビ番組で再会し、「アイドルの時も今もきらきら輝いている伊代ちゃんを見て、私が描くフェミニズムのテーマにふさわしい人だと思って」オファー。松本さんは「かおちゃんの絵はかわいいし独特な世界観を持っている。どんな感じに描いてくれるか興味があった」と二つ返事で受けたという。
1カ月かけて描いた同作は、高校生時代に「アイドルになっていなかったら、遊びに行ったり買物をしたりする未来があったのかな」とイメージして描いたもので、渋谷での展示に合わせて渋谷駅前の忠犬ハチ公像で待ち合わせをしている制服姿の松本さんを描いた。顔は松本さんのシングル「センチメンタル・ジャーニー」のジャケット写真を参考にしたと言い、「大きいけれど(目尻が)ちょっと上がっている目」や髪形のバランスが難しかったという。当時の特徴的な髪形を強調するため、面相筆で描き、随所に笹の葉の模様をシルクスクリーンでプリントしている。
作品は販売(30万円~200万円程度)するがすでに買い手が決まっている作品もある。会場では、ファッションブランド「#FR2」とコラボレーションした、ウサギ耳の「K子」をデザインしたTシャツ(7,700円)、キャップ(6,600円)を販売する。
開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。入場無料。同19日まで(ショーウインドーは同30日まで)。