東京体育館(渋谷区千駄ヶ谷1)で5月29日、男子プロバスケットボール「Bリーグ」1部(B1)のシーズン王者を決める「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22」第2試合が行われ、宇都宮ブレックス(以下、宇都宮)が勝利し優勝した。
昨年10月~今年5月8日に行われたレギュラーシーズンを勝ち上がった8チームによって争われているチャンピオンシップ(CS)の決勝戦で、琉球ゴールデンキングス(以下、琉球)と宇都宮が対戦。2戦先勝で争うなか、今月28日に行われた第1試合は61-80で宇都宮が勝利し王手をかけた。会場には前日を上回る6874人のファンが応援に駆け付けた。
リバウンドからの速攻で先制した宇都宮が4連続得点を挙げた一方、琉球は立ち上がりから強みのオフェンスリバウンドが見られるが、放ったシュートが決まらず開始3分弱で早くもタイムアウトを要求。岸本隆一選手の3ポイント(P)シュートを皮切りに重ねたほか宇都宮のパスをカットするなど好守も見られたが、12-21と宇都宮がリードする。
第2クオーター(Q)立ち上がりは、宇都宮がリバウンドやボールを奪うプレーからの速攻に走り2桁点差を付けるが、琉球はインサイドへのアタックからのシュートなどで食らいつく。30-38で迎えた後半は、前半終盤に「隆一が結構良いドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)をしてそこから流れができていたので、周りの選手も合わせよう」と言う琉球・桶谷大ヘッドコーチ(HC)の指示に合わせ、岸本選手がドライブから仲間のシュートをアシスト。ドウェイン・エバンス選手も続くようにリングにアタックし点差を詰めるも、宇都宮・比江島慎選手が3Pを沈めるなど逆転は許さない。第3Q終盤には琉球が宇都宮のミスを連続で誘発する好守を見せ、さらに前線でプレッシャーを掛けミスを誘い得た攻撃で逆転するも、宇都宮が3Pを沈め54-55と再逆転。
勝負の最終Q。序盤は前日効果的だったゾーンを織り交ぜたディフェンスで琉球の得点を抑えた宇都宮が連続得点で再び2桁点差を奪う。琉球はパスミスなども見られ我慢の展開が続いたが、岸本選手の3P、ジャック・クーリー選手のシュートブロック、アレン・ダーラム選手のバスケットカウント(得点に加えフリースロー1本)などで2点差まで詰める。宇都宮はこの日、得点・アシスト・リバウンドそれぞれで貢献している鵤(いかるが)誠司選手がインサイドで確実に得点を挙げリードを保つ。それでも、琉球は今村佳太選手が3Pを決めるなど、残り1分を切って再び2点差まで詰め寄るが追い上げかなわず、75-82で宇都宮が勝利し、5季ぶりに優勝を果たした。
宇都宮・安齋竜三HCは「琉球は今シーズン本当に強くて最高のチームだと思うが、そこにチーム一丸となってチャレンジしていけた結果、優勝を勝ち取れたと思う。最高のチームが最後にできあがった」と喜びを表現すると共に、選手・スタッフ・ファンへの感謝を口にした。
24得点を挙げMVPに輝いた比江島選手は「去年同じ舞台で悔しい思いをした」と、決勝に進出しながらも惜しくも敗れた昨季を振り返り「すごくうれしい」と涙ながらに勝利をかみしめた。終盤にバスケットカウントとなるレイアップシュートを決めた際には「感情のままに喜びを表現した」と吠える姿も見せていた。
桶谷HCは優勝した宇都宮をたたえ、琉球の選手・スタッフ・ファン・関係者らに感謝の思いを示しつつ、「このファイナルの経験がキングスにとってかけがえのないものになるファイナルだったと思うので、またここに戻って来たい」とリベンジを誓う。「もちろん悔しいが、宇都宮は強かったな」と振り返った岸本選手は、「チームメートと一緒にこの場所に来られたことは大きなことだったし、長い人生で必ず思い出すシーズンになった」と話した。
この日をもってBリーグ2021-22シーズンの全試合が終了した。