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ヴィム・ヴェンダース監督来日 渋谷の公衆トイレ舞台に映画など製作へ

映画の製作などを発表したヴィム・ヴェンダース監督(左から3番目)ら

映画の製作などを発表したヴィム・ヴェンダース監督(左から3番目)ら

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 ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースさんが、渋谷区内の公衆トイレを改修するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の公衆トイレを舞台に映画などを製作する。

ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司さん

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 ファーストリテイリングの取締役である柳井康治さん発案の下、日本財団(港区)が展開する「THE TOKYO TOILET」プロジェクトは、建築家やクリエーター16人が区内の公衆トイレ17カ所をリデザインし、「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」「危険」などのイメージから入りづらい状況がある公衆トイレを、デザイン・クリエーティブの力を活用し「誰もが快適に使用できる」ようにすることを目指す取り組み。2020年に着手し現在12 カ所の改修が終わっている。

 ヴェンダースさんとの取り組みは、柳井さんがクリエーティブディレクターの高崎卓馬さんに「トイレを維持管理するために、使う人の意識をポジティブなものに意識変換をできないか」と相談したのがきっかけ。トイレをメンテナンス(清掃)している人たちの「バックアップになること、きれいに使う意識をどうやったらつくれるかという課題を解決するためにアイデアを出していたが、人の意識や価値観を変える、大げさに言うと常識を変えるくらいのことができるのはアートの力かなとたどり着いた。アートの力を借りてプラスになることをしたい」と考えたという。

 柳井さんと高崎さんが好きな監督であると同時に、「東京への愛情」などを兼ねそろえていることから、昨年のクリスマスごろにオファーしたところ「I’m in」と返答を受けたという。「アートプロジェクト」と題し、アートフィルムを核に、撮影のプロセスでヴェンダースさんが撮影した写真を使った「フォトノベル(写真小説)」、ヴェンダースさんが作るインスタレーションの3作品を制作する予定。

 2人からの手紙を「最高のクリスマスプレゼントだった」と振り返ったヴェンダースさん。最初は「えっ、トイレ」というリアクションだったというが、「企画に関わることで社会的に意義のあるもの、都市というものに関して意義のあるもの、街の中にある特別な場所に関して何かかができる」と考え参加を決めた。しばらく東京に訪れていなかったことから「少しホームシックだった」と言うが、5月11日に11年ぶりの来日を果たし「THE TOKYO TOILET」で建築家・安藤忠雄さんが手がけた公衆トイレを視察。「実際に目にすることができてワクワクしている」と心境を明かし、改修されたトイレは「真の意味でレストルーム(=英語でトイレを指す単語、休む場所)だと思った。それについての物語を何章かにわたってつづりたい。これからの仕事は彼ら(=清掃員)に見合うだけのものに仕上げること」と構想を練る。

 映画の主人公となる清掃員の男性を演じるのは俳優の役所広司さん。「おそらく、撮影をしながら映画を仕上げていくという、これまでもヴェンダースさんがやられた手法で行われると思っている。監督の作品に参加できるということは俳優になって40年、ただ頑張ってこの業界にしがみついてきて良かったなぁと、素晴らしいご褒美をいただいたような気がする。この映画を通して世界中のお客さんに日本という国を紹介していきたい」と意欲を見せる。

 長谷部健渋谷区長は「渋谷区ですてきなトイレがたくさんできて、良い意味で話題になっていた一方、きれいな日ばかりではなく清掃していくことも重要。そこに脚光を当てていただいて、利用してもらう方にトイレを好きになっていただき、渋谷区に対してもシティプライドを感じていただけるものになりそうだと聞いて、私自身もワクワクしている」と期待を込める。柳井さんは「(ヴェンダース監督は)日本や東京を見続けている監督ですし、今の東京、渋谷をどういう風に感じられて、どのように撮られるのか関心がある。作品で描かれるのが、できれば最高の渋谷、東京であったら」と話した。

 撮影は年内、公開は翌2023年をそれぞれ予定している。

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