立体造形作家・森井ユカさんの個展「ニッポン47妖怪録」が4月27日、代官山のギャラリー「子の星」(渋谷区代官山町)で始まる。
全国に1600ほどあるといわれている伝承に登場する妖怪の中から、47都道府県ごとに1つずつ選び、森井さんの解釈で立体化した作品を展示する同展。森井さんはポケットモンスターの「ポケモンカード」公認イラストレーターのほか、妖怪ウオッチに携わるなどキャラクターデザイナーとしても活動しているなか、「原点に立ち返る」ため日本の妖怪の立体化に取り組んだ。3年前に行った世界の民話に登場する怪物の立体作品に続く展示にもなっている。
妖怪は、その都道府県に伝わる伝承からセレクト。北海道=アイヌに伝わる海の泡に化け変化自在の「ルルコシンプ」、福島=てんぐ、群馬=民話に登場する「ぶんぶくちゃがま」、東京=江戸時代の娯楽読み物「黄表紙」に登場する夜道に豆腐を持って現れるだけの「豆腐小僧」、岐阜=飛騨や美濃に出没する人の心を見透かす「サトリ」、富山=南砺市に伝わるヒキガエルのような体に人の顔の「センポク カンポク」、島根=瀬戸物を寄せ集めたような姿をしている「瀬戸大将」、大分=臼杵市に伝わる米や宝が入っている壺の精霊「宝化物」、沖縄=ガジュマルなどに住む樹木の精霊「キジムナー」など。
入道や僧侶のような姿という言い伝えもある「たんころりん」(宮城)は、収穫せずに放置された柿の木が妖怪化したという伝承から柿をモチーフに制作。妖怪画を描いたことで知られる鳥山石燕が正面を向く僧を描いている「日和坊」(茨城)は、てるてる坊主に寄せた姿で作った。作品は焼いて固めるドイツの粘土「FIMO」で制作。1体ずつ木製のフレームに入れ、日本画の顔料を使って背景を描いている。
作品は販売(各1万9,000円)するほか、作品をデザインしたポストカード(1枚200円~)、妖怪のシルエットをデザインした手拭い(100本限定、1,800円)などのグッズも展開する。
森井さんは「おそらく妖怪のイメージは人の数だけあると思うので、『自分だったらこう描きたい』というような、創作意欲をくすぐる存在になったらうれしい」と話す。
開催時間は11時~20時(最終日のみ19時まで)。5月2日まで。