Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)とアルバルク東京(同、A東京)が4月24日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で対戦した。
渋谷区をホームタウンに位置付ける両チームのダービー戦となった今節。共に外国籍選手など中心選手をけがやコンディション不良で欠く戦いとなったが、A東京は外国籍選手1人での戦いとなった。スタート起用された日本人ビッグビッグマンの平岩玄選手は、「昨日の時点で(外国籍選手1人になる)可能性があると分かっていて、僕自身準備はしていた」と言う。
外国籍選手2人のSR渋谷は、ミスマッチとなるインサイドを狙いつつアウトサイドシュートを「思い切り」打つ指示をしたが、「インサイドでイニシアチブを取ろうとして攻撃が重くなり」(伊佐勉ヘッドコーチ(HC))、得点が伸び悩んだ第1クオーター(Q)。
A東京はプレッシャーの強いSR渋谷のディフェンスに対し「少しでも逃げ腰になるとミスになる」(ルカ・パヴィチェヴィッチHC)とドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)を積極的に仕掛けたほか、「誰がヒットマンになるのかプレーを選択し、遂行力高くプレーする」ようにし、スクリーンでつくったノーマークの3ポイント(P)シュートなどを確率高く沈めた。安藤周人選手はボールを奪うプレーからの速攻でダンクも決めた。
前日の試合とは異なるスクリーンの使い方にマークマンを追いかけるのもヘルプに行くのも「全てが後手後手だった」と振り返った第1Qで12-25とビハインドを負い、勝敗を分けた「全てだった」と伊佐HCは話した。
第2QのSR渋谷は、攻撃を始める位置やボールをもらう位置などが合わず、「打たざるを得ないシュート」(伊佐HC)となった序盤の3Pが連続で落ち、A東京がリバウンドを抑えSR渋谷が強みとする2次攻撃を許さなかった。平岩選手はマークについたSR渋谷のジョシュ・ハレルソン選手のリバウンドを抑えるポイントの一つに挙げ、「序盤にリバウンドを取られずに流れを握れたところが最後まで響いたのでは」と振り返った。一時、この日最大の19点差となるが、SR渋谷・盛實海翔選手がパスをカットし得点を挙げたほか、同Q唯一のオフェンスリバウンドから高橋耕陽選手が3Pを沈めるなど点差を詰め25-38で前半を折り返した。
第3Qには、石井講祐選手がインサイドのミスマッチを狙いつつ、空いたゴール下に飛び込んでシュートを決めたり、ボールを奪うプレーで速攻からを仕掛けたりチームを引っ張る。3Pが警戒されるなか、「自主練もしているので積極的に打とうと思っていた」中距離のシュートはファウルを受けながらも沈め一桁点差に詰め寄る。「自分が起点となって攻めることで追う劇の流れを作ることができたのかな」と手応えをうかがわせた。しかし、A東京も好守からの速攻で3Pを沈めるなどすぐに2桁点差に戻した。
40-52で迎えた最終Q。試合を通してコンスタントに得点を重ねていたSR渋谷ケビン・ジョーンズ選手が3Pやオフェンスリバウンドから得点を重ね、ボールを奪う好守も見せる。終盤ファウルゲームを仕掛けたSR渋谷に対し、A東京は高確率でフリースローを沈め61-69で勝利した。
3点差まで詰め寄ったSR渋谷。石井選手は「積極的にアタックしようと思っていたのが、それが結果的にいい方向につながって良かった」と自己評価しつつ、「1本のシュートやパスミスが響く試合だった。拮抗(きっこう)した時こそ基本が大事になってくるのでは」と振り返った。
後半、A東京の3Pを1本に抑えたことなどから、伊佐HCは「(1Q以外は)自分たちらしいバスケットができた」と評価しつつ、パヴィチェヴィッチHCは「ほとんどの時間帯で(A東京が)主導権を握れた」と振り返ったよう、「流れを持ってこれそうな時にタイムアウトで切られるなど、ゲームをコントロールされた」と悔しさをにじませた。
平岩選手は、2連敗していたこともあり「連敗を止めたいと一致団結し、コート上で力を出せた。チームが沈んでいる時に全員が戦って価値をもぎ取れたことは、チームにとって今後につながる勝ちだった」と振り返り、チャンピオンシップに向け「優勝したいし、やってきたことをコートで表現できるよう過ごしていきたい」と続けた。
SR渋谷はジェームズ・マイケル選手を欠く戦いが続いているが、「外国籍選手1人でもフィジカルなゲームをして商機を見出すことは学べた」と石井選手。残り1枠となったチャンピオンシップ出場に向け現在3番手についているが、「僕らが諦めなければ絶対に可能性はあるので、最終戦まで可能性を信じて全員でやろうというのは皆が思っている」と石井選手。ライバルの勝敗はコントロールできないことから「自分たちの試合のみに集中して勝つだけ」と力を込めた。