Bリーグ・サンロカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が4月23日、延長の末アルバルク東京(同、A東京)に94-92で勝利した。会場は青山学院記念館(渋谷区渋谷4)。
同点で迎えた延長戦残り11.6秒からの攻撃。SR渋谷・伊佐勉ヘッドコーチ(HC)が指示したのはエース・ベンドラメ礼生選手の1対1だった。ベンドラメ選手は、ドライブ(ドリブルでゴール下に攻め込むプレー)を仕掛けようとするも、マークしていたA東京・小酒部泰暉選手が付いてきたことから「無理しても止められる」と判断し、小酒部選手が「バランスを崩していた」と3ポイント(P)シュートを選択。ボールはリングに弾かれるも、「ゴール下にとどまるように」(伊佐HC)伝えていたジョシュ・ハレルソン選手がリバウンドを取り放ったシュートが決勝点となった。
緊張感のある中だったがベンドラメ選手は「決めたらヒーローだと考える余裕があった」ほか、同点だったことから「リバウンドで終われば負けない。駄目だったらまたオーバータイム頑張ればいいやくらいの感覚だった」と余裕を持っていた様子だった。
互いに外国籍選手などを欠いた戦いとなったこの日。A東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCが「ディフェンスがソフトになってしまった」と振り返った立ち上がりは、古巣対戦となったSR渋谷のケビン・ジョーンズ選手が先制点を決めたほか、シュート5本を100%の確率で決めるなどして29-18とリードを奪う。第2クオーター(Q)は、石井講祐選手がドライブからの得点、ボールを奪い仲間の得点につなげるプレーやオフェンスファウルを誘発するなど連続で好プレーを見せ、SR渋谷が一時14点差を付ける。それでもA東京は5分以上SR渋谷の得点を抑えると同時に、セバスチャン・サイズ選手がミドルレンジのシュートなどを確率良く決めるなど追い上げ、43-41で前半を折り返した。
後半序盤で試合を振り出しに戻したA東京は、アレックス・カーク選手らのオフェンスリバウンドからのシュートなどインサイドを中心に得点を重ねた。SR渋谷は、西野曜選手がリバウンドでハッスルするなど外国籍選手1人の時間帯をつなぐ。同点で迎えた最終Q立ち上がりはA東京がサイズ選手を中心に得点しリードを奪うが、SR渋谷が渡辺竜之佑選手の好守からのオフェンスリバウンドの得点、ハレルソン選手の3Pなどで逆転する。一進一退の攻防がつづくなかA東京は、小島元基選手がリバウンドから速攻を仕掛けファウルを誘発し、ワイドオープンのシュートを沈め流れをつくる。残り約1分30秒で4点を追うSR渋谷は、「カーク選手の足がついてきていなかった」(伊佐HC)所を突いて、石井選手や「アタックすることしか考えていなかった」とベンドラメ選手が連続でドライブを仕掛け残り9.4秒で同点に追い付く。A東京は最後、エースの田中大貴選手が1対1を仕掛けるもシュートが決まらず、83-83で延長戦に突入した。
延長戦もベンドラメ選手のドライブなどで得点を重ねたSR渋谷が一時4点リードを奪うが、ジョーンズ選手が5ファウルで退場すると、A東京はミスマッチを生かしたカーク選手の連続得点で同点に追い付く。それでもSR渋谷が競り勝ち、連勝を4に伸ばした。
延長では外角のシュートがエアボールになる場面が数回見られたA東京。パヴィチェヴィッチHCは「疲労はあると思う」としながら、「自分が現役の時は、終盤の勝敗を分けるタイミングではドライブでアタックしてダンクやファウルを誘うプレーが多かったが、今は外のシュートが多い。そこは時代の差かな」と話した。
ポイントガードのジョーダン・テイラー選手がけがで欠場するなか「アグレッシブに行こうと思っていた」小島選手は13得点に加えアシストも7本を記録。「渋谷(のディフェンス)はいろいろな所にチャンスができるので、そこを突けたのは良かった」と自己評価しつつ、「もうちょっとアタックしてかき回せたら良かった」と振り返った。
ターンオーバーを4本に抑えたことと「選手がプランを信用してくれて崩れなかった」ことを勝因に挙げた伊佐HCは、西野選手や渡辺選手の名前を挙げながら「皆で45分間つないで勝利できたのでとても大きな1勝」と勝利を喜んだ。終盤、渡辺選手はファウル4つとかさんでいたが、信頼を置くディフェンス力と「礼生のオフェンスの負担、ボール運びを減らしたい」と起用を続けた。
渡辺選手は、延長戦でも田中選手に対し最後までプレッシャーを掛けていたが、ベンドラメ選手は「彼のディフェンスで会場が盛り上がっているのは感じたので気持ちは高まった」と評価。一方で残り約27秒からのスローインでミスになりかけたプレーには「完全に反省すべき。終盤大事な場面で冷静に判断できるようになったらもう一歩次のステップにいけるかな」とも。
両チームは24日も戦う。