渋谷区は6月~7月、一般社団法人Women’s Startup Lab Impact Foundation Japan(渋谷区神宮前6)と連携し、女性起業家の支援や環境づくりを推進するプログラムを実施する。
同法人は、米シリコンバレーで女性に特化したアクセラレータープログラムなどを行っている堀江愛利さんが今年3月に設立。堀江さんは渋谷区のスタートアップ・エコシステムDE&Iスペシャルアドバイザーも務める。米政府の「日本女性とユースの活躍を目的としたリーダーシップと起業育成の支援」を目的とした助成金を受け、日本の女性の起業家を支援するプログラムを企画。自治体などと連携することで、起業家支援に加え、エコシステムの構築を推進する。今回、渋谷区のほか、札幌市、神戸市とも同様に連携する。
渋谷区では、グローバルなスタートアップ企業が集まり成長していくスタートアップ・エコシステム構築を推進するため、スタートアップ企業や大学、研究機関などから技術やアイデアを募集するプロジェクト「Innovation for New Normal from Shibuya」やスタートアップコンソーシアム「Shibuya Startup Deck」の設立、海外のスタートアップ企業向けにオンラインのワンストップセンターの開設などに取り組んでいる。女性に特化した取り組みとしては、スキンケアブランド「SK-II」を展開するP&Gプレステージ(兵庫県神戸市)と女性企業家支援を目的とした連携協定も締結した。
基本構想で「ちがいを力に変える街」を掲げるなか、多様性を育むために「もっと女性に活躍してほしい」と考える渋谷区。支援活動の中で女性起業家からは「子どもを保育所に預けられない」など、街の制度や「社会全体が考えないといけない」課題が挙がるという。環境を整えることで女性を含めた「誰もが」活躍できるようになることは「自治体がより魅力的になる」と考え、女性起業家の支援を図る。
堀江さんは「女性は身近な人が困っていることを事業にしている人が多く、ある意味かっこよくなかったり、夢が無かったりして無視されることも多い」と現状を明かし、「女性に特化することで、街で本当に解決しないといけないことに目が向けられるようになる。今必要な社会問題に取り組みたい人をサポートすることが自治体の成果につながるのでは」と話す。
プログラムは、高校生(16~18歳)向けと女性起業家向けを用意。連携する自治体(及び都道県)の女性が優先的にプログラムに参加できるようにする。
高校生向けプログラムでは、起業体験、起業家精神(アントプレナー・シップ・マインドセット)、起業のアイデア出しなどを学んだ後に事業の立ち上げに挑戦する実戦型プログラムとなる。都内居住・在学・在勤者の参加費は3,300円。定員は50人。
女性企業家向けのプログラムでは、それぞれに合った起業を考えるなど起業に興味がある人向けと、メンターセッションなどすでに起業し事業拡大を考えている人向けを用意。都内居住・在学・在勤者の参加費は、初めての起業向け=5,500円、起業家向け=1万1,000円。定員は、初めての起業向け=50人、起業家向け=10人。
いずれもウェブで参加を受け付けている。募集期間は、高校生・初めての起業向け=5月31日まで、起業家向け=6月30日まで。
同法人はこのほか、「DE&I(ダイバーシティ&インクルージョン)イノベーション都市プログラム」として、女性企業家の支援を行う自治体担当者や企業担当者の研修なども行う。