Ｂリーグ・サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が4月9日、青山学院記念館（渋谷区渋谷4）で群馬クレインサンダーズ（以下、群馬）と戦った。

　3月に入団したケビン・ジョーンズ選手がチーム最多の19得点を挙げ、チームの勝利に貢献したこの日。現在45％を超える3ポイント（P）シュートの成功確率など、安定したシュート力を見せているが、「夏に良い練習ができていたし、良いシューターだという自信はある。コーチ陣からシュートを打つよう指示もあるので意識はしている」と言うジョーンズ選手。「ターンオーバーにならずにシュートで終われる」（伊佐勉ヘッドコーチ（HC））とジョーンズ選手がシュートを打つデザインプレーも増えてきている。

　競った展開となった終盤には、アシスタントコーチの助言で、ジョーンズ選手がゴール下付近で1対1を仕掛ける攻撃を連続で狙い得点を挙げたが、「時間を掛けながら焦らずに攻めることができた。（ディフェンスの）ヘルプが来たら仲間にパスをして、そうで無ければ自分がシュートに行く。シンプルな判断をした結果」と振り返った。

　この日は、空いたスペースに飛び込んでパスを受け得点を挙げるなど連携プレーも見せたが、「互いにプレーを見て理解し合っているし、普段からジョークを言い合い、フリースロー練習でのハンドチェックなど楽しみながらプレーしている」と合流後練習する時間が短いなかでもフィットできている要因を明かす。明るいSR渋谷の雰囲気は「自分の性格にも合っているし、そういう関係からケミストリーは生まれる」とも。

　「アメリカにいる時もすっとトレーニングしていた」ことから早い段階でコンディションを整えることができたジョーンズ選手。シーズンは終盤だが、SR渋谷からのオファーを「チャンスだと思った」と振り返り、「合流したからには勝利に貢献できるように何でもやってやろうという気持ちでいる。まだチャンピオンシップに行けるチャンスがあるので、そこに近づけるように貢献したい」と意気込む。

　試合は、ベンドラメ礼生選手の3Pで先制したほか、ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手がボールを奪うプレーからのダンクシュートなど好スタートを切ったが、マークマンを捕まえる位置が低かったことから「僕の目から見たら（群馬のペースに）合わせているようにしか見えなかった」と、伊佐HCはディフェンスの強度を上げるようベンチから檄を飛ばす。その声に応えるかのように、ジョーンズ選手は群馬のシュートをブロック、渡辺竜之佑選手は群馬のパスをカットし速攻につなげるなど失点を抑え18-11とリードを奪う。

　第2クオーター（Q）序盤は互いに3Pで点を取り合うが、中盤にはベンドラメ選手が連続で好守を見せ２桁のリードを奪う。ミスやリバウンドから群馬が得意とする速攻を許す場面が散見したが、ディフェンスで群馬のミスを誘発するなどして流れを渡さなかった。

　45-32で迎えた後半は、長身の選手でメンバーを構成してきた群馬に対し、SR渋谷も199センチの西野曜選手をスタートで起用。最初の攻撃はデザインしたプレーで得点を挙げたが、ミスから失点が続き1点差まで詰め寄られる。それでも、ベンドラメ選手がファウルを受けながら3Pを沈め、その後のフリースローも決める4点プレーを見せたほか、ダブルチームでボールを奪うなどしてリードを広げることに成功し、63-53で最終Ｑに突入。「気を付けていた」（伊佐HC）エンドラインから前線にボールを投げるパスを許したほか、ミスからの失点で再び点差を詰められるが、終盤はインサイドで得点を重ね78-70で勝利した。

　勝利はしたものの、「イライラしかしていない」と厳しい言葉を発した伊佐HC。その原因は14本とかさんだターンオーバーで、「ディフェンスで踏ん張れるようになってきた」ことは評価しつつ、「簡単にボールを失う、乗れそうなときに自分たちで流れを切るところがあった」と振り返る。ターンオーバーの原因については、「群馬のディフェンスはそこまでプレッシャーを掛けてこないので、攻めにくそうにしていた。シンプルに攻めろとは言ったが、前が空いているのでいつでもシュートを打てる、攻められる変な間合いになった」と考える。

　客席に滑り込んだマカドゥ選手をはじめ、さまざまな選手がルーズボールを追い掛ける姿を見せたSR渋谷。伊佐HCは「指示などはしていないが、ディフェンスで足が動くようになってきてボールに対する執着心は上がってきている」と評価した。

　両チームは10日も戦う。