渋谷・フィンガーアベニューの老舗生地小売り店「TEXTILE WORLD TOA渋谷店」(渋谷区神南1、TEL 03-3463-3351)が4月4日、リニューアルオープンした。経営は高山ランド(神南1)。
1946(昭和21)年に、「東亜商会」として現在のSHIBUYA109渋谷店近くの宇田川町エリアで創業した同店。当時は終戦直後の「洋裁ブーム」で、自宅で服などを作る人が多く、天井近くまで積み上げていた生地がその日のうちに売り切れるほどだったという。
現在の場所は当初、縫製工場や倉庫などを設置していたが、再開発に伴い現在のビルが建設された1987(昭和62)年に店舗を移転した。生地小売り店は渋谷(本店)のほか、武蔵小山や札幌など最大5店舗を展開していたが、現在は渋谷の1店舗となっている。3代目が継いでいる高山ランドは現在不動産事業が中心となっているが、生地小売りが創業の事業であることから、今後も渋谷の地で長く営業していきたいと考える。
今回、空いた隣の区画を活用し、中野店を統合する形で増床リニューアル。店舗面積は約46坪から約100坪と倍以上の広さになった。新しい区画はガラス張りのファサードで開放的になっているほか、全体的に動線を広くしたり商品を見やすくしたりした。
現品限りが多いという生地は、綿やニット、ウール、麻、プリント生地、チュール、デニム、播州織、裏地、舞台衣装などに需要が高いというスパンコール、年代物のインドシルク、金糸などを使う紋様が特徴的なブロケード(金襴)など幅広くラインアップ。価格は1メートル100円~(販売は50センチ~、以降は10センチ単位、一部除く)。余剰在庫や生産が終了したものなども一括で仕入れることで販売価格を抑えている。このほか、リボンやミシン糸、はさみなどの服飾雑貨類も扱っている。服飾の学校に通っていたスタッフも多いことから、用尺などの相談にも対応する。
来店客は学生や主婦層、芸能関係の人など幅広く、「掘り出し物」を探しに来る人も多い。近年では、グリーンバックなど撮影の背景に使う生地を求める人もいるという。同店で28年働いている蛯原隆拡店長は「どんな方が来ても、渋谷のTOAに来たら『何でもある』と思ってもらいたい。いろいろな種類の素材を集めてお求めやすい価格で提供していきたい」と話す。
営業時間は10時~19時。リニューアル記念として今月8日~10日には、全商品が30%引きとなるセールを実施する。