小学生が街の課題を見つけ解決策を提案する「Social Kids Action Project(ソーシャル キッズ アクション プロジェクト、以下、SKAP)」が3月27日~30日に行われた。
子どもたちに自発的なアクションを起こさせ、子どもの視点・意見で大人を動かすことを目的に実施する同プロジェクト。4児の母でフリーランスとして活動する傍ら「渋谷区子ども体験コーディネーター」でもある植野真由子さんが企画・主催し、「二枚目の名刺」(渋谷区富ヶ谷1)と連携し取り組んでいる。
トライアル(1回)を含めて今回で6回目。これまでは原宿エリアを対象に行っていたが、区内の「他のエリアにも広げたい」と考えていたこともあり、今回は初めて神南エリアを対象にした。
参加したのは、加計塚・神南・千駄谷・幡代・猿楽・神宮前小学校の3年~6年(新4年~中1年)の9人。インターネットで募集をかけたが開始2日で定員となったという。これまでは女性の比率が高かったというが、今回は男性6人と半数以上を占めた。
初日には、商店街の理事長にエリアの特徴や歴史を、東急不動産担当者には10年後の同エリアでの開発についてなど、同エリアに携わる大人にそれぞれ話しを聞いた後、街を散策。児童にはデジタルカメラを貸し出し、聞いた話を踏まえつつ気になったところなどを撮影させるようにした。2日目には、渋谷区立北谷公園の「ブルーボトルコーヒー」、生地店「TOA」、東武ホテルなど周辺の店舗や施設10カ所を訪れ、「困っていること」「欲しいもの」などをインタビュー。3日目には、渋谷区の担当者からどのような街づくりを行っているか話を聞いたほか、代々木公園などで来街者にインタビューを行った。3日間で見聞きしたことを基に、それぞれが見つけた課題、そしてその解決案を考えた。
最終日には午前中から資料を作り、午後には長谷部健渋谷区長をはじめ、商店会、協力企業、親などを招き、大人に向けたプレゼンを行った。ゴミのポイ捨て問題に着目した「ごみ拾いレース」の開催や、地域の人たちからスケートボードの騒音に対する意見があったことからスケートボード場をつくる案、子どもも楽しめる施設としてアスレチック場の設置などの案が上がり、それぞれ、「再開発地につくってもらいたい」「(資金は)クラウドファンディングで集める」「自分は○○をする」など具体的に構想した。
同プロジェクトでは、アイデアは引き続き子どもたちが主導となり実現に向けて行動していくことを勧めており、これまでにも街のパンフレット作り、落ち葉拾いのイベント、ゴミ拾い専用バッグの製作など複数が形になっている。
長谷部区長はそれぞれの案にコメントをしたほか、「皆が『こうしたい』とイメージできていることは何かしらのゴールにたどり着くと思うから、ここでやめずに形にすることをやってもいいのでは」と呼び掛けた。
母親の勧めで同プロジェクトを知った神南小学校の中村夏緒さん(10歳、新5年生)は、人前で話すことが苦手なことから最初はやる気では無かったというが、紹介動画を見て「楽しそう」と感じたことや、「苦手克服になるのでは」と参加を決めた。通っている小学校からも近いエリアでの取り組みで、「知っている所が多かったから話しも聞きやすかったし、より知るきっかけにもなった」と振り返りつつ、街頭でのインタビューは「最終的に10人に聞けて良かったが、断られちゃうことが多くて大変だった」と明かした。発表は「すごく緊張した」と言うが、ハキハキとしたしゃべりでプレゼンをしていた。
本年度加計塚小学校を卒業した佐藤誠悟さん(12)は、「暮らしている渋谷区の企画に参加したいと思っていた」なか、母親から勧められ参加。「大変だったことは無かった」と言い、「地域の人と話すことは滅多に無いから、地域のことをどう思っているのかインタビューしたことや、どうしたら良くしていけるのかを考えるのが楽しかった」と振り返った。プレゼンの資料は1枚の模造紙にまとめたが、今回は複数の児童が補足資料としてチラシを配った。佐藤さんも「発表用のポスターと言葉だけだと伝わりにくいかなと思って、分かりやすいように」と、パソコンでチラシを作った。