Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が3月26日、茨城ロボッツ(同、茨城)と対戦し85-76で勝利した。
5連敗中のSR渋谷と5連勝中の茨城と対照的な両チームの一戦となったこの日。伊佐勉ヘッドコーチ(HC)も「スカウティングの時点で勢いが違ったので、いかに(勢いに)乗せないこと徹底できるか」を伝えたと言う。
この日先制となる3ポイント(P)シュートを決めた石井講祐選手は、1本目が決まったことで「良い感じのタッチが掴めていたので積極的に狙おうと思っていた」と、最終的に3Pは11本打った。第2クオーター(Q)には2本連続で3Pを外しながらも、「まず本数は打とうと思っていたのと、シュートを打つことに対して自分自身で責任を負おうと思っていたので、打つことに迷いは無かった」と、オフェンスリバウンドでつないだボールも躊躇無くシュートを打ち沈めた。
最終Q、この日最大となる11点差をつけるもファウルが続くなど3点差までに詰め寄られた場面には、「何とかしたい気持ちもあった」と得点を挙げ茨城の流れを断ち切ったが、「タフだったが自分で打ちにいって結果的に入って良かった」と振り返った。石井選手はシーズンハイの22得点を挙げたが、「連敗中はオフェンスで良いオープンシュートが作れていなかったので、そこの改善をしっかりできたのかな」と分析した。
試合立ち上がりからSR渋谷は高確率で3Pが決まるも、第1Q終盤は得点が停滞し16-21とビハインドを負うが、第2Q立ち上がりに、ディフェンスリバウンドを抑えると同時に、石井選手の連続3Pで試合を振り出しに戻す。同Q途中出場した盛實海翔(もりざね・かいと)選手は、コートに入ってすぐに3Pを沈めるとドライブ(ドリブルでのインサイドアタック)からのアシスト、自らのレイアップと攻撃を引っ張り、同Q100%のシュート確率で8得点を挙げた。39-36と逆転に成功したなか、同Qは茨城の得点を15点に抑えた。第1Q、茨城にドライブを許していたことから、伊佐HCは「プレッシャーは効いているので、プレッシャーを掛けつつスマートに守ろう」と話したという。
インサイドの守りを固める茨城に対し、前半は3Pは10本決めていたが、2Pはシュート確率が25%と落ち込んでいた。前回の対戦で後半に3Pが決まらず敗れていたこともあり「(インサイドの)アテンプト(=試打)の差は気にしていた」伊佐HC。後半に向け、「特にアシスタントコーチ陣が空いているスペースを指示してくれた」なか、ベンドラメ礼生選手がドライブを仕掛け得点を挙げたり、アシストしたり流れを作る。前半、強みのオフェンスリバウンドからの得点が伸び悩んだなか、「リバウンドでも流れを変えられたら」と渡辺竜之佑選手ら日本人選手も積極的にリバウンドに飛び込みボールをつないだ。渡辺選手は、「打つと決めていた」と今季練習を重ねている3Pは1本沈めたが、前節も1本決めていることもあり「あとは自信を持って打つだけかな」と手応えをうかがわせた。
66-58で迎えた最終Q、一時3点差まで詰め寄られるが、伊佐HCは前回の対戦で後半に逆転を許していたこともあり「タイムアウトを残したかったので我慢した」。同Q後半には、ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手がインサイドで強さを発揮し連続得点で点差を広げることに成功。残り約3分には、石井選手とジョシュ・ハレルソン選手が茨城のボールマンにダブルチームを仕掛け、ミスを誘発する好守を見せると、コーチ陣も含めベンチが沸いた。石井選手はベンチから指示があったことを明かしつつ、「良いタイミングで良いディフェンスができた」と振り返った。
ここ数試合はビハインドを負うと一気に点差を広げられる試合が多く「食らいつけないチームになっていた」(伊佐HC)が、「点を取り合う時間帯と、一気に離す時間帯を選手がしっかりやってくれたのかな」と伊佐HCは評価した。
連敗脱出となったSR渋谷。石井選手は「ケビン・(ジョーンズ)が合流してくれてからもう一回自分たちのやりたかったスタイルを全員でやりきろうと話していて、連敗続いていたが全員が向き合ってきて結果につながり素直にうれしい」と喜ぶ。渡辺選手も「やりたかった(SR渋谷)本来の激しいディフェンスをしっかり体現できたことが全て」と勝因を挙げる。連敗脱出に「ほっとしたうれしい気持ちはあるが、試合が終わった瞬間に切り替えた」と27日の2戦目を見据え、「ディフェンスとリバウンドから流れを作って自分達のやりたいバスケで連勝したい」と意気込んだ。