渋谷モディ(渋谷区神南1)4階が3月17日、インクルーシブ(包括)な取り組みを導入するフロアにリニューアルした。
2019年に、「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越え、全ての人が幸せを感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現」を目指すビジョンを発表している丸井グループ(中野区)。そのなかで、基本構想で「違ちがいをちからに 変える街。渋谷区」を掲げている渋谷区に位置する渋谷モディを「象徴する館にしていきたい」と、同館で取り組みむ。
同社がビジョンの中で掲げた「共創のプラットフォームをつくる」取り組みの一環として、資本提携する、オーダーメードのビジネスウエアを提供する「FABRIC TOKYO」、知的障がいのある作家のアート作品をプロダクト化する「ヘラルボニー」と共創する。
フロアには手洗いまでの距離も表示する看板を設置したほか、一部の通路には点字ブロックも配置。新設したイベントスペース「カレンダリウム」には、車椅子の充電や筆談にも対応する「みんなの試着室」や、化粧直しなどにも使えるパブリックなスペースを作った。
「FABRIC TOKYO」は、2018(平成30)年同館に出店した「All-Gender Store」を移転・拡張(約75平方メートル)。メンズから始まった同ブランドは、昨年からトランスジェンダーの人たちのオーダーにも対応し始めたなか、今回は新たにバリアフリーに対応。店舗設計のアドバイザーにパラアイスホッケー元日本代表選手の上原大祐さんを迎え、さまざまな大きさの車椅子でも移動や回転がしやすい動線の確保や、車輪が当たらないような什器を設置するなどした。フィッティングルームは、横になって着脱ができるスペースも作り、両サイドに縦・横の手すりを設置。横になったまま全身が見られるように天井に姿見を付けた。
同店に隣接する「カレンダリウム」はインクルーシブな取り組みを発信するイベントスペースとなる。第1弾として「ヘラルボニー」の限定店が出店し、アパレルアイテムやファッション雑貨などを販売し、商品は「みんなの試着室」で試着できるようにする。同社がプロデュースするデザインの什器などを配置するエリアは、イベント開催時以外は休憩などでも利用できるようにする。
「FABRIC TOKYO」では、ヘラルボニーとのコラボレーションとして、ヘラルボニーが契約する作家3人のアートをスーツのジャケットの裏地として選べるようにする(「All-Gender Store」で先行予約開始、発売は5月)。上代の8%はヘラルボニーに還元する。
「世界自閉症啓発デー」である4月2日には「社会還元デー」として、同館の売り上げの0.1%をヘラルボニーに提供する。
丸井グループは今後、ダイバーシティ&インクルージョンを具現化できるようなテナントやイベントを同フロアで進め、「やがては館全体で展開したい」(渋谷モディ田口由香子店長)と計画する。