東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)を中心に2月4日、「第14回恵比寿映像祭『スペクタル後』」が始まった。
2009(平成21)年に始まった映像とアートのフェスティバルとなる同祭。国内外の新進作家の発掘・支援を行うと同時に、多くの人が多様な表現に触れる「開かれた」機会づくりとなることで国際交流・地域交流の活性化を図る。
「映像とは何か」を考えるため毎年異なる総合テーマを掲げ展開するなか、14回目となる今年は「スペクタル後」をテーマに、19~20世紀にかけての博覧会や映画の歴史から現代までに至るイメージ・映像表現について考察する。インディペンデントキュレーターの小原真史さんをゲストキュレーターに迎え、小原さんが所蔵する約2000点の博覧会関連資料の一部と、同館のコレクションを組み合わせて展示する「歴史―博覧会・映画の登場とスペクタル」、国内外の現代作家による作品の展示・上映・イベントを展開する「現代性―映像の『スペクタル後』の可能性」、トークショーやライブパフォーマンス、教育普及プログラムなどを展開する「体験」で構成する。
展示作品は、写真撮影とドラムパフォーマンスを融合する写真家・山谷佑介さんの「Doors」、暗闇の中でストロボライトが点滅すると、天井につるされ回転している傘に描かれた絵が浮かび上がりアニメーションとして見ることができる、アーティストユニット「パンタグラフ」の「ストロボの雨を歩く」など。アーティスト小田香さんは、メキシコで撮影した映画「セノーテ」の素材を元に制作した三面映像インスタレーション「Day of the Dead(死者の日)」を発表。トーマス・エジソンが発明した世界初の映写機の一種「キネストコープ」を、映像作家・石川亮さんの35ミリフイルム作品で体験できる展示も展開する。
ホールでは、北海道沙流郡平取町二風谷に長期滞在しアイヌにルーツを持つ人々やそのコミュニティーを撮影したドキュメンタリー「アイヌ・ネノアン・アイヌ」、ベルリン国際映画祭でエンカウンターズ部門最優秀賞を受賞した作品で京都の山村に暮らす人々の生活を描いた「仕事と日(塩谷の谷間で)」などを上映。アジアの映像クリエーターの発掘・育成を目的に開催されている短編映画の映像祭「DigCon6 ASIA」の特別プログラムでは、アニメーション11作を上映する。
恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場では、昨年の同祭で展示する予定だった、日英米に拠点を置くビジュアルデザインスタジオ「WOW」による映像のモニュメント「モーション・モダリティ/レイヤー」を設置。夕暮れの雰囲気や水面の揺らぎなど自然現象に似た様相を光と影で表現する。
開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。入場無料(一部プログラムは有料)。今月20日まで。月曜休館。