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穏田神社が節分企画 「退治したい鬼」「招き入れたい福」募集

参拝客の「退治したい鬼」「招き入れたい福」が貼られている掲示板

参拝客の「退治したい鬼」「招き入れたい福」が貼られている掲示板

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 渋谷と原宿の間に位置する「穏田神社」(渋谷区神宮前5)が現在、節分企画を展開している。

3代目宮司の船田睦子さん

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 「みんなで呼ぼう福の神。みんなで払おう鬼は外。みんなの節分」と銘打ち展開する同企画。「退治したい鬼」=嫌なことや変えたいことなどと、「招き入れたい福」=目標や取り組みたいことなどを紙に書いて貼れる特設掲示板を用意し、掲示された用紙に宮司の船田睦子さんがコメントを寄せている。

 例年節分には、鬼が登場しての豆まきや、子どもたちに菓子を配るなどをしてきた同社だが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響でできなくなり、昨年は福豆を頒布した。今年に向け企画を考えるなか、昨年のクリスマスにコーヒーショップで見た、願い事をツリーに貼る企画に着想を得て、「直接的ではないがコミュニケーションを取ることができる」と考えた。 

 「思っていた以上にいっぱい貼って下さっている」とすでに多くの思いが届いていると言い、「誰かと思いを共有して、共感する場所って大事なんだ、つながりを求めているんだと感じている」と話す。現在、貼られた紙を別途ファイリングして閲覧できるように作業を進めている。「書いてくれたことで、他の方が『分かる』と思ってくれるだけでもやっている意味がある。感染者が増えていて外出を控えている方も多いと思うが、当社は静かで人もまばらなところなので、近くに来た際は、少し心が落ち着けるような時を過ごしてもらえたら」と呼び掛ける。神社だけでなく、同社のSNSでもハッシュタグ「#退治したい鬼」「#招き入れたい福」で、コメントを受け付けている。

 船田さんは、先代の父親が亡くなったことから2020年から宮司を務めている3代目。当初「継ぐ気は無かった」と言い一般企業に勤めていたが、5年前に父親の病気が発覚し継ぐことを決意。大学で神職の資格は取ったと言うが、ブランクもあったことから仕事をしながら、週末に渋谷区内の他の神社で勉強をするなどし、国学院大学に1年通い直して神職の資格も取り直し宮司に就いた。

 新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた年でもあり、年間行事などができないことから「代わらざるを得なかった」こともあるが、近くで働いている人でも知らない人がいることや「道に迷い込んだら着いた」という人もいて、神社を「周知させないとどんなに良いことをやっても響かない」と考えていた。船田さん以外の神職がいないことから、企業に依頼しブランディングのアドバイスを受けながら、広報活動にも注力している。

 ホームページを開設し、SNSを始めたほか、イラストレーターである妹の協力を得ながら御朱印を用意するなど「基本的なこと」から取り組み、昨年から夏に参拝する習慣を提案する「夏詣」に参画したほか、例大祭ではみこしや屋台が出せないなか、地域の子どもを対象にした予約制の福引き大会を行うなど、感染症対策を取りながらコミュニケーションを取れる機会をつくってきた。今回の節分企画もこれまでの取り組みの中から企画した。

 船田さんは「神社には、何か祈りたいから来るのが最大の目的だと思うが、それだけでなく御朱印や、アニメの聖地になっていることなど、それ以外の理由の方も多い。参拝目的をいっぱい増やして、何が目的でも良いが当社や、神社がどういうものか知ってもらいたい」と言い、「誰かを大切に思うことは、自分のことも大事に愛することが大事。忙しい生活なか、5分でも良いからご自身の心を置いてけぼりにしないで大事にしてほしい。そういうことを考えられる場所になりたい」と意欲を見せる。

 節分企画は2月3日まで。

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