松竹（中央区）が2022年1月、バーチャルプロダクション手法の研究開発拠点として「代官山メタバーススタジオ」（渋谷区代官山町）を代官山に開設する。運営は同社とカディンチェ（代官山町）がエンターテインメント×テクノロジーをテーマに設立したミエクルが主体となって行う。

　「バーチャルプロダクション」とは3DCG背景やVFX（視覚効果）と、現実世界で撮影している映像をリアルタイムで合成する撮影手法。同スタジオを通して、松竹グループが手掛ける映画や演劇事業における3DデータやCGの活用ニーズを探ると同時に、「多様な」クリエーターとの共創することで最先端技術とクリエーティブ制作をつなぎ、新たな表現方法を追求するという。

　同スタジオでは、グリーンバックや大型LEDディスプレーを用いることで、人物とCG背景をリアルタイムで合成し撮影する。そのため、ロケーション撮影が難しいなどの地理的制約や、日照時間・天候など自然条件に左右されない制作が実現できることになるほか、CG撮影後に必要な背景と人物の合成作業が短縮されることから、従来の編集作業の効率化も期待されるという。

　同スタジオ発のコンテンツ第1弾として来年1月下旬（予定）には「META歌舞伎 Genji Memories」をライブ配信予定。同作は古典文学「源氏物語」を題材にした歌舞伎作品で、平安時代を「再現」したバーチャルセットと歌舞伎俳優の演技をリアルタイム合成し配信する。演出は、「GARO-VANISHING LINE-」などを手掛けた朴性厚（パク・ソンフ）監督のスタジオE&H productionの、「呪術廻戦」「THE GOD OF HIGH SCHOOL」で演出を手掛けたアニメーターの西澤千恵さんが担当。中村壱太郎さんが藤壺や葵の上など女性5役を演じ分け、総合演出も務める中村隼人さん光源氏役を務める。配信は同社の公式動画配信サービス「歌舞伎オンデマンド」で行う（1週間のアーカイブ配信も予定）。