Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月11日、青山学院記念(渋谷区渋谷4)で新潟アルビレックスBB(以下、新潟)と戦い79-70で勝利した。
「ディフェンスはそこまで悪くなかった」(伊佐勉ヘッドコーチ(HC))が、ワイドオープンのシュートを外すなど「決め切れるシュートが決まらない」重い立ち上がりとなった第1クオーター(Q)。途中出場した田渡修人選手は「僕のマークマンが(インサイドに)寄っていたのでパスをもらったら決める自信があった」と自らボールを要求し3ポイント(P)シュートを沈め得点を動かす。
第2Qには、最初のディフェンスで新潟のターンオーバーを誘発すると、ベンドラメ礼生選手のインサイドへのアタック、ジョシュ・ハレルソン選手の3Pで逆転。前節から調子を上げている高橋耕陽選手がリバウンドからの速攻で盛實海翔(もりざね・かいと)選手の3Pをアシストしたり、新潟のパスをカットし自ら得点を挙げたりチームに勢いをもたらし、42-28と2桁点差を付け前半を折り返した。
一時最大18点のリードを奪った第3Q終盤。パスミスやファウルが重なると、田渡選手がベンチから「エナジー出して」と声を上げチームメートを鼓舞。田渡選手は「(流れが)悪い時にいかにチームにエナジーを与えられるかを今季の一つの目標に、悪い時こそチームを引っ張れるよう意識している」と言い、「チームがすごく沈んでしまっていた。リードしていたし、お客さんの前で試合ができているのに、あぁいうパフォーマンスをしたらもったいないしチームが成長できないと思った」とその場面を振り返った。
最終Qは、ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手がテクニカルファウル2回で退場となったことに加え、第3Qの最後にコート中央付近からの3Pを決め「(勢いに)乗ってしまった」(伊佐HC)新潟のロスコ・アレン選手を中心に得点を決められ、2点差まで詰め寄られる。そのタイミングで伊佐HCは「(指示の)遂行能力が高い」田渡選手と石井講祐選手を投入。「自分が引っ張ろうと意識していた」田渡選手は、「正しいポジショニングについていたから取れた」と新潟からボールを奪うと、直後の攻撃で「もらえれば決められると思った時に、石井さんがシューターならではのタイミングで良いパスをくれた」と3Pを沈め点差を広げることに成功。石井選手はアシストだけでなく、3Pやファウルで得たフリースローを確実に沈め同Qで7点を挙げた。伊佐HCは「攻撃をクリエートができ、3Pもある」田渡選手、石井選手、高橋選手を同時に起用し、「どこからでも攻めれるようにした。3人が良い所を出しながら周りを使って良い5分間だった」と評価した。
この日は「(選手が)審判と戦ってしまう」(伊佐HC)場面も見られたが、伊佐HCは「一生懸命プレーしているから」と擁護。「勝ったけど良い試合ではなかった」と振り返った田渡選手は、前半でテクニカルファウルを宣告されたハレルソン選手にいち早く駆け寄り声を掛けていたが、「(チームで戦うという)『結』の精神が自分たちの中にある。誰かが悪い精神状態になったら全員で助けるというのがあるので、自分がまとめなきゃいけなかったし、もっとコントロールしてあげればよかった。マック(マカドゥ選手)が、(テクニカルファウルを)2回してしまったのも反省がある。チーム全体の問題」と続けた。
試合前には、昨シーズンBリーグの三遠ネオフェニックス(以下、三遠)に所属していたステヴァン・イェロヴァッツ選手が12月5日に脳卒中で急逝したことを受け、観客含め全員で黙とうをささげた。過去、三遠に所属していたこともある田渡選手は「Bリーグで戦っていた仲間。三遠のメンバーから、優しくて何よりも良い人だと聞いていた。SNSで知った時もショックが大きかったが、黙とうをささげた時には言葉で表現するのは難しいがこみあげてくるものがあった」と言葉を詰まらせた。
両チームは12日も戦う。