渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)と、青山通りの間に位置する再開発「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」の新築ビル工事着手を控える12月1日、報道関係者向けに工事現場が公開された。
もともと青山通り沿いにあった老朽化が進んだビル4棟(シオノギ渋谷ビル、渋谷アイビスビル、渋谷東宝ビル、太陽生命渋谷ビル)を、高さ約120メートルの複合施設1棟に建て替える同再開発事業。2020(令和2)年12月から解体工事が始まり、約1年を経て今月から新築工事が着工する。
渋谷と青山・表参道をつなぐ結節点に位置する立地から「TSUNAGI-BA」という事業コンセプトを掲げ、まちとまち、人と人、文化と文化、まちと人をつなぐ場を同施設から提供していくという。同開発を担当する東急の田中晃吉さんは「渋谷駅の『にぎわい』と、青山側・表参道側の玄関口としての『落ち着き』を兼ね備える」とし、同施設の好立地を強調した。
100年に一度と言われる渋谷駅周辺の再開発事業では、施設開発と同時に官民連携による「立体的な歩行者ネットワークの整備・強化」が進められているが、同施設の開発事業においても、渋谷ヒカリエ3階の貫通通路やヒカリエデッキから連続する「シームレスな歩行者空間」を整備し、青山・表参道、渋谷3丁目方面(渋谷クロスタワー側)への回遊性を強化する。さらに「ヒカリエ側」と「青山側」にゆとりのある広場を2カ所設けて、「東口エリアのにぎわいや憩い空間」を創出していく。
地上23階、地下4階の同施設の延べ床面積は約4万4500平方メートル。地下1、2階は一般駐車場・荷さばき駐車場、1階~4階の低層部(専有面積 約2,832平方メートル)は、にぎわいを創出する商業空間などを設け、5階~23階はオフィス(専有面積 約24,925平方メートル)で構成。さらにオフィスフロアの最上階23階には「屋上スペース」も併設し、オフィスワーカーに向けてリフレッシュや憩いの場として開放する。現在のオフィスリーシング状況について、田中さんは「コロナの影響でIT企業を中心にテレワークが加速し、『オフィス縮小』という議論がいち早く出たのが渋谷だった。ただ、直近ではオフィスの重要性も認識され、その戻りが早いのも渋谷の特徴ではないかと思う。駅近でグレードの高いこの施設は引き合いもあり、既に半数のフロアで内定が決まっている」とコロナ禍ながら順調にオフィスリーシングが進んでいるという。
現在、解体工事は約8割終わり、今月中に解体と並行して、山留工事を皮切りに新築ビル工事が始まる。再開発事業に関わる総費用は約300億円。竣工は2024年5月を予定する。