渋谷公園通商店街振興組合の事務所で見つかった「お宝」写真の中からセレクトしたものを展示する「渋谷公園通り写真展1977-1997」が現在、神南のコワーキングサロン「SLOTH JINNAN」(渋谷区神南1)で開催されている。
神南で生まれ育ち、現在は同組合副理事長を務める清水康仁さんは組合の新しい「コンテンツ」として写真展を計画。美大出身の清水さんは、同窓でアーキビストの井出竜郎さん、デザイナーの杉浦草介さんと共に動き始めが、清水さんの実家にある街の風景写真は15枚ほどしかなかった。「数が足りない。どうしよう」と組合の事務所に行きロッカーを開けたところ、「宝の山が出てきた」。66冊のアルバムと空き缶に詰められたバラの写真は、合わせて2000枚以上あった。
「これで写真展が開ける」と確信した清水さんらは8月半ば、開催に向けた準備を本格化させる。最初に手掛けたのは2000枚以上の中から写真を選ぶ作業。風景写真を中心に150枚ほどまで絞り込んだ後、「キリのいい」100枚を選び出した。アーキビストの井出さんを中心に、写真から読み取れる情報を元に撮影年や場所をデータ化した結果、選んだ写真は1977(昭和52)年~1997(平成9)年のものだったことから、タイトルに「1977-1997」を添えた。
会場は、「渋谷駅~神南一丁目交差点」から「代々木公園」まで、エリア別に8つのコーナーで構成。写真のキャプションに記されたQRコードからグーグルマップで撮影場所が分かるほか、会場中央には公園通り周辺の大型の白地図を設置。写真の番号と撮影場所、撮影方向を白地図に記し、当時の公園通りの風景を立体的に伝える工夫を施す。会場レイアウトをはじめ、ポスター、チラシ、ポストカードなどのアートディレクションは杉浦さんが手掛けた。
清水さんは「この写真展の準備を進める中で、いろいろな人から昔話を聞いたり、喜んでもらえたりしたのはすごく良かった。写真展の枠を超えて何かを得た実感がある」と話す。「この写真展を介して知らない方同士のコミュニケーションが生まれる場になれば」と期待を込める。
開催時間は9時~19時。入場無料。希望者にはポストカードも用意する(無くなり次第、終了)。今月31日まで。