渋谷区立神南小学校の児童たちが「子ども目線の渋谷」をテーマに制作した観光タブロイド紙「SHIBUYA MAP」の配布が10月15日、始まった。
「おいしい店」「不思議」「歴史」など8つのテーマで36店・カ所を掲載する「SHIBUYA MAP」
6年生の児童たちが、5年生の「総合的な学習の時間」で制作を開始したもの。5年生のうちに完成する予定だったが、新型コロナウイルス感染症流行に伴う緊急事態宣言の影響を受け中断したこともあり6年生の前期まで掛かった。
同紙は渋谷区観光協会とナビゲーションサービスの「ナビタイムジャパン」(港区南青山3)、一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント協力の下、制作。児童たちは昨年6月、渋谷パルコや東急本店などの前で、来街者の属性や目的などを調査。観光協会や地域住民、民間企業の人たちから渋谷の観光について学んだ後、街に繰り出し掲載する店やスポットを決めた。
当初はその後、今年1月に掲載する店舗などの写真撮影や取材を行う予定だったが、緊急事態宣言発出に伴い断念。作業が進まないまま6年に進級したが、7月に取材をすることができ、編集作業などを経て9月に完成した。曳地清孝さんは「1年前から頑張ってきたかいがあった」と喜び、福田有那(ゆな)さんは「(当初は)どうなるか全く分からなかったけれどやって良かった」と続けた。
「SHIBUYA MAP」のサイズはタブロイド判でページ数は19ページ。「おいしい店」「不思議」「あまり知られていないスポット・店」「歴史」など8つのテーマで36店・カ所を掲載。取材時に児童たちが撮影した写真や取材を通して知ったことなどを交えて店やスポットを紹介しているほか、児童たちが描いたイラストもしている。文章はナビタイムジャパンが翻訳した英文も載せている。タブロイドに記載するQRコードなどからは同紙に関するアンケートも募っている。
「おいしい店」を担当した曳地さんは、ラーメン店「麺の坊 砦」の取材で「砦が要塞という意味だと知ったこと」が印象に残ったと言う。「フィールドワークで情報収集するのが楽しかった。見る人たちがどういう感想を持つか考えながら作るのが大変だった」と振り返った。
「あまり知られていないスポットや店」を担当した福田さんは、「(皆が)知らないことを聞くことなどが大変だった」と言う。調べた中で、渋谷区役所15階の「スペース428」について「(スペース428が)あることを全く知らなかったが、景色が良くて人も少なくて穴場な感じでいいなと思った」と話す。「取材するのも楽しかったし、皆が分かりやすいように文章を考えるのも楽しかった」とも。
タブロイドは当初、児童たちが街なかで来街者に手渡しで配布する予定だったが、続くコロナ禍を踏まえ中止。代表して10月15日に、渋谷区役所と渋谷駅前「SHIBU HACHI BOX」内の観光案内所に届けた。
曳地さんは「いろいろな所から渋谷に来る人たちに、渋谷の魅力をたくさん知ってもらいたい」と、福田さんは「子ども目線で作ったので大人だけでなく、子どもが見ても楽しいと思う。渋谷に住んでいる人や渋谷のことを知っている人にも手に取ってほしい」と、それぞれ呼び掛ける。
配布場所は、渋谷区役所、「SHIBU HACHI BOX」、渋谷マークシティ内の観光案内所、掲載各店など。発行部数は1000部。同校のホームページでもタブロイドのデータを公表している。