サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が10月2日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)でBリーグ2021-22シーズンの開幕戦を迎えた。対戦相手は名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋)、入場者数は1465人。
開幕戦から劇的な幕引きとなったこの日。同点で迎えた残り2.9秒からSR渋谷最後の攻撃。インサイドでのアタックを狙ったがスローインでボールを入れられず。ボールを受けた石井講祐選手はトップの位置にいたベンドラメ礼生選手にボールを託す。ベンドラメ選手は、時間は残り約1秒で「打つ判断しかなかった」と放った3ポイント(P)シュートは、「打った瞬間に入るなと思った」と言う通りゴールに吸い込まれた。
その瞬間チームメートはベンドラメ選手に駆け寄り、会場のファンたちはスタンディングオベーションで喜んだ。ベンドラメ選手は「最後の1秒であれだけ盛り上がることができるというのがバスケットの面白さであり醍醐味。バスケットボール選手としてし、てみたいプレーの一つだったので気持ちよかった」と振り返った。伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は「礼生さまさま」とたたえつつ、「あれはまぐれだと思うので、パスを入れたい所に入らないなか、つないでくれた講祐にコーヒーをおごりたい」と笑いを誘った。
試合は、「リバウンドは自分の仕事」と自負するジェームズ・マイケル・マカドゥ選手のフェンスリバウンドからの得点でSR渋谷が先制。ほか、途中出場した渡辺竜之佑選手がオフェンスファウルを誘発するなど、序盤から持ち味であるアグレッシブなディフェンスで名古屋のミスを誘発する場面が見られた。第1クオーターから2桁リードを奪う時間帯もあったが、「警戒していた」(伊佐HC)名古屋の3Pを抑えきれず、思うように点差を広げられず、43-36で前半を折り返す。
後半は立ち上がりからマカドゥ選手を中心に得点を重ね再び2桁点差を付けるが、名古屋がリスタートの速い攻撃やリバウンドからの速攻、インサイドへのアタックからの得点で追随。最終Qはワイドオープンのシュートを決め切れず得点が伸び悩むなか、名古屋は高確率で3Pを決め、残り約5分で追いつかれると一進一退の攻防に。残り11秒同点の場面でファウルを受けたのは、フリースローを自身の課題として掲げ取り組んでいるマカドゥ選手。「自信をもってフリースローラインに立つことを意識した」と、得たフリースローを2本確実に沈め一歩前に出る。マカドゥ選手は、「あの瞬間で決めたのは大きかったと思う。ずっと練習してきたことが結果として表れることはうれしい」と振り返った。直後の攻撃で名古屋に再び追いつかれるも、ベンドラメ選手のブザービーターで80-77で勝利した。
開幕戦を「とてもわくわくし、ルーキーのような感覚で」迎えたというマカドゥ選手は、26得点リバウンド11本のダブルダブルを記録。「(チームスローガンである)『結~ALL IN~』を体現して勝利をもぎ取れたと思う」と勝利を喜んだ。伊佐HCは試合前、「我々はオフェンスもディフェンスもフィジカルゲームだとまずホワイトボードに赤字で書いた。勝っていても負けていても根本の部分は表現していこう」と伝えたと言い、「ある程度の時間帯はできていたが、メンバー交代を多くするので、その時にちょと緩んでいたかな」と評価。昨シーズン開幕戦を落としていたことから「どういう形でも勝てたのは良かった」と安どの表情を浮かべた。
両チームは明日3日も同所で戦う。