広尾の日本画専門美術館・山種美術館(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)で現在、所蔵する浮世絵と江戸絵画の「名品」を紹介する特別展が開催されている。
開館55周年を記念した特別展。同館は鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重といった「六代絵師」の作品も収蔵している。同展では、都座上演の「花菖蒲文禄曽我」で嵐龍蔵演じる金貸し・石部金吉が借金の取り立てに行った場面を描いた東洲斎の役者大首絵「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」、大首絵を美人画に取り入れた喜多川の「美人五面相 う満相 犬を抱く女」、広重の「東海道五十三次」などを展示。
江戸絵画コレクションは、創立者の山崎種二が江戸琳派の絵師・酒井抱一の作品を見たことをきっかけに美術品の収集を行うようになったことから琳派の作品が「充実している」という。会場では、伊藤若冲が京都・伏見に住んだ最晩年の時期の作品という伏見稲荷付近で作られる土人形を描いた「伏見人形図」のほか、酒井抱一による「秋草鶉(うずら)図」などの重要美術品3点、徳川家康が最初に埋葬された久能山の東照宮に続く参道付近を描いた「久能山真景図」(椿椿山)などの重要文化財2点などが並ぶ。
現在の開館時間は10時~16時。月曜休館(8月9日は開館、翌10日は休館)。入館料は一般=1,300円ほか。夏季企画として、大学・高校生は通常の半額500円で入館できる。8月29日まで。