渋谷区の子育て支援事業の基幹施設「渋谷区子育てネウボラ」(渋谷区宇田川町)が8月2日、オープンする。
フィンランド語で「アドバイス(neuvo)」「場(la)」を意味する「ネウボラ」は、フィンランドの子育て支援システム。区は、5年ほど前から同システムを研究し、生まれる前(妊娠期)から産後(子どもが18歳になる)までの支援を図る「渋谷区版ネウボラ」を構築。仮庁舎があった第二美竹分庁舎に関連センターなどを集積し「プレオープン」していたほか、妊婦に育児に必要な衣類や体温計などの「育児パッケージ」配布を始めるなど、段階的に取り組みを進めてきた。
同事業の中核をなす施設として3年ほどかけて建築した同施設。建築費は約26億7,200万円。1~8階建てで延べ床面積は4558.67平方メートル。「入りやすさ」を重視し、ガラス面を広くするほか、エントランスの外壁などには渋谷区役所同様、壁面緑化を図っている。「森の中にいるようなイメージ」で仕上げた施設内は、忠犬ハチ公像のモデルとなったハチのふるさとである秋田・大館の木を多用している。
施設内は、2階・3階に、民間に運営を委託する「渋谷区神南ネウボラ子育て支援センター(通称:Coしぶや)」を展開するほか、4階~6階に中央保健相談所、6階に教育センター、7階に子ども発達相談センター、8階に子ども家庭支援センターをそれぞれ配置。屋上には小規模ではあるがベンチも置く庭園を造った。
中央保健相談所は妊娠中から出産、子育て期の総合窓口として地域の担当保健師や歯科衛生士、栄養士がサポートを図るほか、検診・相談、健康作りに関わる講座や教室を開催していく予定。教育センターではスクールソーシャルワーカーが相談に応じる。
子ども発達相談センターでは保健師や心理士、言語聴覚士、保育しなどが相談に対応。子ども家庭支援センターは18歳未満の子どもとその家庭に関する総合相談窓口として、それぞれの家庭の事情に応じて他の専門機関と一緒に対応する。
これまで区では相談内容などに応じて窓口を設けていたが、同施設では1人の保健師(現在13人が在籍)が相談窓口となり、悩みなどに応じて専門セクションをつないでいく。「これまで親や近所の子育て経験者に相談する機会が減ったなか、なるべく一気通貫でやっていこう」(長谷部健渋谷区長)と、同システムを導入した。
長谷部区長は「子育てに関することは全てまかなう施設」と位置付け、区内他の子育て支援センターとも連携していく予定で、「区の子育て支援のシンボルとして、皆に使ってもらえたら」と話す。
開館時間は9時~17時(中央保健相談所は8時30分~17時15分)。