Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)の石井講祐選手が7月12日、オンラインイベントでファンと交流した。
現在オフシーズンのBリーグ。コロナ禍でシーズン中・オフシーズンにかかわらずファンと交流する機会が減ったなか、「コミュニケーションを取れる場」「自分の言葉を伝えられる場」として自ら企画。Zoomを活用した同イベントには約70組のファンが参加した。
イベントの冒頭では、「KPT(ケプト)」法で昨シーズンを振り返った石井選手。「Keep(継続すること)」として挙げたのは、昨シーズンの途中から増やしたウエイト・ランのトレーニング量、感情を顔に出さない(コントロール)、インサイドへのアタック、昨シーズン86%の成功率を残したフリースローの確率など6つを挙げた。ファウルのコントロールなどが「Problem(改善が必要なこと)」にあったなか、一番と言及したのは「自分がプレーしやすいように周りに動いてほしいと思うメンタリティーでプレーしてしまったこと」。昨季後半に、ライアン・ケリー選手とジェームズ・マイケル・マカドゥ選手の2人がけがで離脱した時期に「『自分が活躍しないと』というエースのようなマインドになりすぎた」と振り返った。
そして来季に向け、けがなどをせずに全試合出場することを第一に、シュート確率をシーズン通して安定させることなどを「Try(新しく取り組むこと)」として挙げた。プレー以外では、食生活や睡眠といった生活習慣を専門家協力の下、見直しを図っているという。
石井選手自身が昨シーズン「最も印象に残っているプレー」として挙げたのは昨年12月26日の京都ハンナリーズ戦、最終クオーター(Q)の立ち上がりでマカドゥ選手のアリウープダンクを演出したパス。自身がパスを受ける際にマカドゥ選手が前線に走っているのが見えていたと言い、「『あの辺かな』と投げたらドンピシャに(パスが)通った。あのようなプレーは僕の中で少ないのでテンションが上がった」と笑顔を見せた。ファンの多くが挙げたのは、1月2日の三遠ネオフェニックス戦、最終Q残り1分強で6点を追う場面で、スチール(ボールを奪うプレー)から3ポイント(P)シュートを決めたプレーだった。石井選手は「スチールを狙いに行った時は(ボールを)取れる感覚はあった。3Pを打つつもりはなかったが、ボールを持ったところが3Pラインの上だった」と言う。ベンチから伊佐勉ヘッドコーチ(HC)が「2点でいい」と声を上げていたが、「聞こえたのが打つ瞬間で、3Pの方が自信があったし、決めれば文句言われないと思って…」と続けた。
同プレーの中で話題に上がった伊佐HCの人柄を訪ねられると、「優しい『おじいちゃん』というか『おじさん』、選手みんなから慕われている『お兄さん』」と紹介。石井選手がSR渋谷に移籍した2019-20シーズンの開幕戦、古巣の千葉ジェッツ戦の試合前に「『よく来てくれたな、移籍を絶対に成功させるぞ』とコートに送り出してくれ、その時に『絶対に開幕戦を勝とう』と思った」というエピソードも披露した。
イベントではファンからの質問にも答えた。大学卒業後、会社員(営業)として働いていたことに触れられると「社会人マナーが身に付いた」と言い、「アスリートは名詞交換ができただけで褒められる」と「あるある」を紹介。SNSのエゴサーチについては、「僕より先に妻がしていて、(内容を)大体教えてくれている。『感謝しなよ』と常々言われている」と言い、自身がSNSに投稿する際は「撮った写真が良くない」など妻のチェックが入ることも明かした。「(マスコットの)サンディーと話したことはあるか」という女の子からの質問には「(サンディーは)人間の言葉がしゃべれないみたいなので身振り手振りで会話をするようにしている。もしかしたら子どもたちには話してくれるかもしれないのでたくさんしゃべりかけるといい」とアドバイスも。
石井選手は2021-22シーズンもSR渋谷でプレーする。「自分が負わせてもらえそうな責任の大きさ」と「今のメンバーで多くのことを成し遂げたいという思いが強かった」ことから契約継続を決めたと言い、「チームの最大の目標はBリーグ優勝。その中で、ディフェンス、シュート、そのほかのプレー、とにかく1つでも勝利に貢献するプレーをクオリティー高く安定して発揮するのが個人の目標」と意欲を見せた。