渋谷区が、高齢者のデジタルデバイド(情報格差)解消を図るための実証事業を始める。
ウィズコロナ時代に求められる「新しい生活様式」でスマートフォンなどのデジタル機器が生活の質を向上させることが期待されているなか、課題となっている高齢者のデジタルデバイドを解消し、高齢者の生活の質が向上することが目的。現在の65歳以上の渋谷区民は約4万3000人。
実証事業では、高齢者にスマートフォンを無料貸与し日常的に活用できるよう支援する。スマートフォンには、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」や渋谷区の防災アプリ、天気予報などに加え、健康増進関連のアプリなどを搭載して貸与する予定。詐欺被害防止を目的に「悪質なサイト」などを閲覧できないようにし、国際電話も利用できないなど通信・通話に一部利用制限をかける。
期間中は、区内の会場で基本的な操作やアプリの使い方などに関する講習会を行うほか、専用のコールセンターの設置、区の「なんでもスマホ相談」などでサポートを図る。貸与期間は9月~2023年8月。通信料・通話料は区が負担する。アプリや位置情報などの利用データを個人が特定できない方法で収集・分析し今後の施策の検討などにつなげていく。
区は5月から区報などを通じて希望者を募っている。2022年3月31日時点で65歳以上の渋谷区民で、スマートフォンを保有していないこと、区が指定するスマートフォンの活用を支援する講習会等に参加できることが条件となる。募集人数は3000人で、現在の約1000件募集が来ているという。募集人数を超過した場合は、一人暮らしの人や65歳以上の人のみで構成される世帯に属する人を優先とした上で抽選を行う。
申請書を郵送または区役所の高齢者福祉課サービス事業係などの窓口で受け付ける。募集は6月30日(消印有効)まで。