渋谷駅東口地下広場で現在、「この地下に『あめちょ』あります」という謎のメッセージが書かれた大型広告が掲出されている。
この広告を掲出した一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントの山口友康さんは「『あめちょ』とは『雨水貯留施設』のことで、分かりやすく親しみを持ってもらうことを前提に付けた愛称」と話す。
100年に一度といわれる大規模な再開発工事が進む渋谷駅周辺では、地上に大型商業施設を建設するのと同時に、「災害に強いまちづくり」に向けたインフラ整備も大きな課題とされている。特に「すり鉢地形」の最も低い場所に位置する渋谷駅は、過去に何度もゲリラ豪雨や大型台風などによる浸水・冠水被害に遭ってきたことから、以前からその対策が強く求められていた。
2019年11月、「東口地下広場」は電車乗り換えの利便性を高める交通結節点として、先行して供用開始。翌年8月、広場の真下に広さ東西約22メートル×南北約45メートル、天井高約7メートルの「雨水貯留施設」の整備も完了し、稼働を始めた。例えば、渋谷駅周辺に1時間に50ミリ~75ミリの雨が降った場合、同施設は雨水のストックヤードとして機能し、最大貯留量は約4000トン(25メートルプール換算で約13杯分)の雨水を一時的にためておくことができる。
今回の広告掲出の狙いについて、山口さんは「約10年の工事期間を経て、2020年に雨水貯留施設が完成したが、当然ながら施設は目に見える存在ではない。この取り組みを、渋谷にいらっしゃる方にもっと知ってほしい」と地下施設の認知向上を挙げる。
広告ポスターは、地下広場のカフェ側に掲出中の縦約2メートル×横約12メートルと、パウダールーム側に掲出中の縦約2メートル×横約10メートルの2面。人の流れの多いパウダールーム側に「この地下に『あめちょ』あります。」と謎めいたメッセージを入れ、歩行者が「?」と思いながら、ふと反対側の壁面に目を向けると「この地下に『雨水貯留施設』があります。」というアンサーが目に入る仕掛け。さらに横長の広告クリエーティブは、漫画のコマのようにストーリー仕立てで分かりやすく構成し、歩く速度に合わせ一コマ一コマを追う形で、「あめちょ」に関する理解を深めていく展開となっている。
「地下広場を回遊して、2つの広告ポスターを見てほしい」と山口さん。掲載期間は今月30日まで。