舞台「ピサロ」のアンコール上演が5月15日、渋谷パルコ(渋谷区宇田川町)のPARCO劇場で始まった。
「ピサロ(原題:ザ・ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン)」は、16世紀に167人の「寄せ集め」の兵を率いて、2400万人のインカ帝国を征服したスペインの将軍ピサロの物語。昨年3月、同劇場のオープニング・シリーズ第1弾公演として予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い初日を延期したほか、45回公演の予定が10回のみとなっていた。
主演するのは、同作を1985(昭和60)年に日本初演した際に、インカ帝国の王・アタウアルパを演じていた渡辺謙さんで、今回アタウアルパを演じるのは宮沢氷魚(ひお)さん。演出は、25年以上英国ロイヤル・バレエで活動し、2014年に「ウィンド・イン・ザ・ウィローズ」で演劇・オペラの賞「ローレンス・オリヴィエ賞」で「ベスト・エンタテイメント賞」を受賞したウィル・タケットさんが手掛ける。
渡辺さんは「ピサロは、死を頭の片隅に感じているような老いぼれの役なので、1年たってより一層役に近づいたのかな」と話し、「外出するのをはばかれるような時勢の中で、演劇を見るために足を運んでいただくということに、ある意味非常に胸を痛めている。それでも、僕たちは届けたいものがある。劇場にお越しの際には、くれぐれも感染対策には気を付けてお越しいただければ」と呼び掛ける。
宮沢さんは「昨年、公演が中止になった際、謙さんが『またやろう』という言葉をみんなに言ってくれたので『再演ができないわけがない』と思っていた」と振り返り、「このような状況なので体調には気を付けているし、キャスト全員が覚悟や責任感を持ってパフォーマンスをしている。1年間の努力や思いがあるので、一人でも多くの人にこの作品を見ていただければ」と話す。
入場料は1万3,000円、U-25チケットは6,000円。6月6日まで。