Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が4月24日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)でレバンガ北海道(以下、北海道)と戦い92-64で勝利した。
今節が今季のレギュラーシーズンホーム最終戦となるSR渋谷。2連戦の初日となったが、翌25日の試合は緊急事態宣言発令に伴い無観客で実施することが決まっている。そのため、ホームのファンの前での試合はこの日が最後となった。伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は試合前、「大変な時期に足を運んでくれたファンの方たちに感謝の気持ちも込めてチーム一丸となって戦おう」と声を掛けたという。
立ち上がりからリードを奪う展開となるが、ミスでシュート前にボールを失うなど「オフェンスがぶつ切りに」(伊佐HC)なったほか、北海道にリバウンドを許すなど「(リズムに)乗れず、アップテンポに持っていけなかった」(同)と第1クオーター(Q)は14-11のロースコアとなる。「ガードには常にボールをプッシュしろという話はしていた」(伊佐HC)なか、第2Qには山内盛久選手が積極的にボールを前線に送り速攻を仕掛ける場面も増え、同Qだけで31点を挙げた。
同Qには、古巣対決となった野口大介選手が登場。出場時間2~3分程度という試合が続いていたなか、「ボールを触る回数も少なかったので、(シュートを)打って(調子を)確かめるではないが、積極的に打っていこうと思っていた」と同Qでは3ポイント(P)シュートを3本放ち2本を決めた。「気持ちがボールに伝わって入ってくれたので良かった」と振り返る。
同Qにはさらに、足首を捻挫していた盛實海翔(もりざね・かいと)選手も7試合ぶりに出場。「ボールをもらったら最初はシュートを狙うが、ディフェンスとの駆け引きで」インサイドへのアタックからアシストしたほか、「自分のタイミングで打てた」と3Pも決めた。
後半は「ボールが外でしか回っていないので、中に入れるかペイントタッチ(制限区域にボールを進めること)をしようと話した」(伊佐HC)と言うよう、インサイドへのアタックからのパスで得点を挙げる場面が増えた。第3Qの終盤約4分は北海道に追加点を許さず、同Qの失点を12点に抑え、72-44とリードを広げた。
最終Q序盤には、盛實選手のスチール(ボールを奪うプレー)から野口選手がダンクを決め、場内を沸かせた。身長196センチの日本人ビッグマンである野口選手は、「特に日本人がダンクをすると盛り上がるので、若い時は積極的にやろうとしていたが、年を重ねると膝やアキレス腱をけがするのが怖いのでやらないようにしていた」と言うが、「気持ちが盛り上がってしまい、やってしまった。今日は特別。膝も腱も何も無くて良かった」と笑う。「特にいつも一緒に練習しているビッグマンがすごく喜んでくれたのがうれしかった」とも。盛實選手は「しっかりボールにプレッシャーをかけたことでボールに触れた。大介さんのダンクを一番近くで見られて良かった。かっこ良かった」と振り返る。
盛實選手は同Q中盤にはシュートモーションに入りながらも石井講祐選手へパスをした場面もあったが、「(自分で)打てると思ったが、石井さんが走ってくるのが見えたし、自分より石井さんの方が(決まる)確率が高いだろうとギリギリでパスにした」と言う。この日は10分強の出場で5得点4アシストをマーク。「トレーナー陣のおかげでホーム最終戦に復帰できて良かった。自分の役割を理解した上でミス無く、楽しく試合ができた」と復帰を喜んだ。
野口選手は約13分半の出場で11点をマーク。「ムーさん(=伊佐HC)は(選手の気持ちを)くみ取ってくれる監督なので、試合に出ることになるとは思ったが、先発の選手たちが僕たちのバスケットを展開してくれたおかげ」と感謝の言葉を口にした。ヒーローインタビューには野口選手が選ばれるとチームメート全員が喜美の表情を見せた。野口選手は「皆がおじきとか兄貴とかいろいろなあだ名を付けて、馬鹿にしつつ年上と扱ってくれているのでありがたい」と話した。
試合後のロッカールームで伊佐HCが「37歳の大介でもダンクができるんだから、20代ももっと頑張れ」と話したことを明かした野口選手は「まだダンクをしようかと思った」と言い、盛實選手は「積極的にダンクを狙っていきたい(笑い)」と刺激を受けた様子だった。
この勝利でSR渋谷のチャンピオンシップ(CS)出場マジックが2となり、早ければ25日の試合結果で出場が確定する。野口選手は「今日はこういう点差で勝ったが課題はあったので、しっかり修正してCSに向けて戦いたい」と話し、盛實選手は「一戦一戦自分たちのバスケットができれば結果につながってくると思うので、気を引き締めて戦っていきたい」とも。