Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が3月29日、秋田ノーザンハピネッツ(同、秋田)と戦い98-79で勝利した。
前日1点差で競り勝ったが、「特に日本人選手がプレッシャーディフェンス、ボディコンタクトができていなかった」(伊佐勉ヘッドコーチ(HC))ことを確認し臨んだSR渋谷。第1クオーター(Q)は秋田の切り替えの速い攻撃を止められずミスからの失点もあったほか、秋田のゾーンディフェンスに苦しみビハインドを負う展開となる。第2Qには最初のプレーで石井講祐選手がボールを奪うプレーを見せると、それに続くかのように関野剛平選手も秋田のパスをカットするなど好守が見られ始めた。
その関野選手は同Qで3本の3ポイント(P)シュートを決めたが、3Pシューターではないため前日の試合からディフェンスに間合いを取られていた。前日は「迷って打った」場面もあり3Pを決めきれなかったが、「入ればラッキーだし流れの中で打てばリバウンドにも入りやすくなると思ったので、空いていたら迷わずにボールを打つことを意識した」と言う。第3Qには、マークマンに前を走られながらも付いていきミスを誘発する好守も見せたが、「走られても並べればどんな選手にも絶対に勝てると思っているので、抜かれても最後まで追い掛けて行けたのは良かった」とも。
速攻や「プレッシャーが掛かっていないところ」などディフェンスに対する指示をして迎えた第3Qは、関野選手が誘発したプレーなど秋田から連続でボールを奪い点差を詰める。同Q後半には、秋田の外国籍選手2人がファウルトラブルとなりサイズが落ちたミスマッチを突き、ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手を中心にインサイドで得点を重ね76-63と逆転に成功した。インサイドでのシュート確率が高かったこともあり、伊佐HCはシューターの選手以外は外角のシュートは「我慢しろ」と伝えたという。流れを掴んだ最終Qはさらに点差を広げ試合を締めくくった。持ち味のディフェンスから流れを引き寄せたが、伊佐HCは「後半は出ている選手がサンロッカーズらしいディフェンスを表現してくれた」と評価した。
最終盤には、西野曜選手がゴール下付近でボールをもらい1対1を仕掛けバスケットカウント(得点に加えフリースロー)を決めるプレーを見せた。ボールを運んでいたベンドラメ礼生選手は、西野選手がシュートを打つオフェンスをコールしていなかったが、西野選手自ら「(ディフェンスとの身長差があり)ミスマッチができていたし、礼生さんと目が合ったので『やらせてくれ』とアイコンタクトを送った」という。
大学ではエースだったこともあり「(試合に)出たくてうずうずしちゃうこともある。得点は取りたい」と貪欲さをうかがわせる西野選手。今月大学を卒業したルーキーながら堂々としたプレーを見せているが、「最初の方は緊張していたが、いろいろな先輩が『緊張するのは当たり前だから、気にせずにただ楽しめば良い』とアドバイスしてくれている」と要因を明かす。この日は7得点をマークし、入団後ホームで初得点となったが、「アウェーで決めるより、(SR渋谷のチームカラー黄色にかけて)黄色い声援が来たので込み上げてくるものがあった」と喜んだ。
経験を積ませることや「何かやってくれる」と期待を込めて西野選手をロスター入りさせている伊佐HCは、「日本代表(候補)である礼生にボールを要求していて、大した男だなと。決めてくれたので良しとしたい。いい度胸をしている」と笑った。
11得点を挙げ個人通算1000得点を記録した関野選手は、試合後のインタビューで「言いたいことがありすぎて」かんでしまったが、「僕の記念すべき1000得点のために集まっていただきありがとうございました」と言いたかったという。秋田に所属する同窓の同級生・中山拓哉選手とマッチアップする場面も見られたが「僕もまぐれでシュートが入ったが、なかやん(=中山選手)もまぐれシュートが入ったと思うので、トントンかな(笑い)」とも。
SR渋谷は今月31日に予定していた千葉ジェッツ戦が中止となったため、次の戦いは4月3日4日の琉球ゴールデンキングス戦となる。