東京オリンピック・パラリンピック組織委員が2月25日、オリンピック聖火リレー実施時の新型コロナウイルス感染症対策を発表した。
3月25日、福島県・ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジを出発し、47都道府県を121日間かけて巡る聖火。リレーは約1万人のランナーが走る予定となっている。
組織委員会は「安心・安全」な聖火リレーの実施に向け感染症対策を策定した。沿道での密集を回避するため、観覧する場合は居住地の都道府県外での観覧は控え、住まいの近くで観覧することや、マスクの着用、大声を出さずに拍手や配布グッズなどを使った応援を呼び掛ける。「過度な密集」が生じた場合は、リレーを中断する可能性もあることから、ライブ中継の視聴も推奨する。
リレー時は、沿道の警備員などからの呼び掛けや状況に応じて広い場所に誘導するなどして密集の回避に努める。組織委員は沿道での観覧自粛を呼び掛けるのではなく、「最も重要なことは密を回避すること」とし、それができるのであれば「沿道で応援してほしい」という。
各都道府県で緊急事態宣言や不要不急の外出自粛要請が出されている場合は、公道でのリレーを見合わせ式典会場で点灯セレモニーのみを無観客で行うなどして、聖火をつないでいく。実施判断は、リレー実施日が近い都道府県を「ある程度」まとめたブロックとして各都道府県の実行委員と協議した上で実施日の約1カ月前に公表する。
ランナーには2週間前から会食をしない、密集する場所への外出を避けるなど行動管理し、体調管理チェックシートへの記入を依頼。当日は屋外であることやソーシャルディスタンスが確保できることから走行時はマスクを外すことも可能とする予定で、走行時以外はマスクの着用を呼び掛ける。「著名人ランナー」は立ち入り制限ができる競技場や公園、学校の敷地など公道外、または歩行者の通行止めができる公道などの走行を検討している。
運営スタッフも2週間前から体調管理チェックシートの記入や行動記録表の作成などを行うほか、全国を巡回する約400~500人のスタッフは定期的にスクリーニング検査を受ける。
東京都内の聖火リレーは大会直前、開会式当日までの15日間にわたり62市区町村を巡る予定で、渋谷区内の聖火リレーは開会式前日となる7月22日、目黒区から港区までをつなぐ予定。2019年12月に発表されたリレーのコースは、文化村通りをスタートし、スクランブル交差点や表参道、代々木公園などを通り、代々木大山公園でフィニッシュする全長約6キロ。走行ルートなどは維持される予定だが変更する場合もあり、詳細なルート地図や出発・到着地、出発・到着予定時間などは3月2日に組織委員会公式ウェブサイトで公開する。
聖火ランナーは延期前の時点ですでに決定していたランナーが優先して走る予定。2月26日以降、聖火リレーのパートナーや各都道府県実行委員会らがランナーの氏名、走行日などを公表する可能性がある。区内では、日本を代表する女子卓球選手の一人で世界卓球殿堂入りも果たした、渋谷区名誉区民の栗本(旧姓・松崎)キミ代さんらが決まっていた。