Bリーグ・サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が2月13日、三遠ネオフェニックス（同、三遠）と戦った。

　リーグ戦が続く中、今月17日からはカタールで代表戦が予定されていたバスケットボール界。新型コロナウイルス感染症の影響を受け大会が中止となり、代表合宿に参加していたベンドラメ礼生選手は12日中にチームに合流し、この日の試合にも出場した。

　伊佐勉ヘッドコーチ（HC）はこの日、2018-19シーズンまで三遠に所属していたことから古巣対決になることや「最初からアグレッシブにオフェンスをしてほしい」と思いを込め、田渡修人選手を先発メンバーに起用。SR渋谷はシューターの選手がシュートを放つ攻撃を試合の最初に指示することが多いなか、この日はシューターである田渡選手がSR渋谷最初の得点を挙げた。田渡選手は序盤に計2本の3ポイント（P）シュートを決め伊佐HCの期待に応えた。

　24-15で迎えた第2クオーター（Q）は、外国籍選手2人欠くチーム状況を踏まえ、ほとんどの時間帯でゾーンディフェンスを敷いた。要所では、三遠の「起点となる」選手である川嶋隼人選手のみマンツーマンで守る変則的なゾーンも行った。同Qは三遠もゾーンディフェンスをしていたが、盛實海翔（もりざね・かいと）選手が得意の3P2本を沈めた。盛實選手は「パスをつないで（ディフェンスの）ズレができて空いたら打とうと思っていたし、（仲間が）ノーマークを作ってくれたので自分のリズムで打てた」と振り返る。

　後半立ち上がりには11点リードするも、ミスからの失点が続き点差を詰められる。特に三遠・川嶋選手には2回連続でボールを奪われたが、伊佐HCは「注意はしていたが、そこから三遠の流れになってしまった」と振り返る。それでも、関野剛平選手がインサイドへのアタックや3Pなどで得点を重ねたほか、八村阿蓮選手のシュートブロックや三遠のミスを誘うディフェンスを見せるなど粘りを見せる。最終Qは序盤で8点差を奪うも、残り4分16秒で逆転を許すと追う展開に。

　残り約1分74-80でSR渋谷の攻撃。強みであるオフェンスリバウンドでボールをつないだサードチャンス、ボールを受けた盛實選手は「ちゅうちょなく打った」とこの日3本目となる3Pを沈めた。その直後には、ディフェンスに定評のある関野選手らを投入した伊佐HCの采配が当たり、関野選手が三遠のターンオーバーを誘発した。残り約19秒で三遠にフリースローを与えるが2本とも外れ、1点ビハインドでボールはSR渋谷に。石井講祐選手がドリブルでリングにアタックするプレーからのパスでベンドラメ選手が3Pを放つもシュートは外れ79-80で惜敗した。伊佐HCは「石井がノーマークで打てるかと思ったが打たない選択をし、結果的に時間がかかった。最後はシュートで終われたが時間の使い方は良くなかった。もうちょっと早くシュートを打ってほしかったがうまく伝えきれず、僕のミス」と話した。

　外国籍選手2人を欠いていることから、ここ数試合はゾーンディフェンスを多用しているが、この日は三遠に要所で3Pを決められた。伊佐HCは「ゾーンを練習していないなか、これまではうまくいっていたが、（今日は）想定外の形でノーマークになっていた」と分析。この日はフリースローの成功率が52.4％にとどまったが、「せっかくもらったフリースローを連続で落としてしまってはどんなゲームも勝てない。（日本人選手が外したところが）もったいなかった」と指摘した。

　試合終盤にフリースローを得ながらも決められなかった盛實選手は「自分的にはいつも通り打ったつもりだが、結果が全て」と振り返る。今季開幕前のオフで「もう少し落ち着いて打って平気かなと思い、（ボールを受け取った後）時間を取ってから打つようにした」とフリースローを見直し、成功率を上げていただけに「決めないといけないシュートだった、精度を上げていきたい」と悔やんだ。盛實選手はこの日14得点をマークしたが、けが人が存在し各選手のステップアップが求められるなか「求められている得点を取ること」を意識していると言い、「これまではチームに貢献できていなかったので、アグレッシブに攻めることが大事かな」とも。

　両チームは14日も戦う。伊佐HCは「リバウンドは引き続きサイズの面で劣っているが、言い訳無しで人数をかけてでも全員で取りにいく。連敗はできないので、自分たちらしいバスケットをして、最後に（三遠より）1点でも多く取れたら」と意気込む。