シャンデリアアーティスト、キム・ソンヘさんの展覧会「天国-HEAVEN」が2月5日、渋谷パルコ(渋谷区宇田川町)4階のPARCO MUSEUM TOKYOで始まる。
キムさんは1982(昭和57)年、朝鮮人三世として東京で出生。織田デザイン専門学校を卒業。2005(平成17)年にセレクトショップ「ラブレス」で展示した作品が注目を集めたのを機に、シャンデリアアーティストとして独立。アーティストやファッションブランドなどとのコラボレーション、ショップ空間のディスプレーなどを手掛けている。
物心が付いたときから「差別という存在が日常だった」というキムさん。自身の幼少期の体験を元に、使われなくなったぬいぐるみやアメリカン・トイ、招き猫など、時代や作られた場所などに関係なくさまざまな玩具を、「人々が集まる場所の光=シャンデリア」に集める(コラージュする)ことをコンセプトに作品を作っている。キムさんにとって「自由の象徴」だという「天国」をテーマにした作品はかねて制作しているシリーズとなる。
新作を中心としたシャンデリアはインスタレーションとして展示する。天井からつるすシャンデリア26台は直線上になるようにつるし、その下に鏡を敷く。直線上の両端の壁面にも鏡面を付け、鑑賞者がその鏡面の前に立ち作品を見ることで、鑑賞者を中心に天と地の循環を感じられるようにした。
そのほか、さまざまな玩具をコラージュしたアートピースなども展示。会場では、不要になった玩具(重さ1キロ未満、長辺50センチ以内)の寄付を受け付けるボックスを用意し、集まった玩具を会期中に壁面のアート作品に付け加えていき、一つの作品を作り上げる試みも行う。
場内では今月11日、神楽坂の生花店「てん.」が場内1日限定でフラワーマーケットを開催。「天国」をテーマにした花束などを販売する。
展覧会に合わせ、同店1階正面出入り口のウインドーにはキムさんの作品を装飾するほか、5階の「カリフ」「キャンディストリッパー」ではブランドとコラボレーションした作品を展示する。
キムさんは「私が表現する『天国』とは、死後の世界を意味するものではなく、天国のように上も下もなく、怒りや傷つけ合うことのない世界を願って始めたプロジェクト」と言い、「どんなに人類が進歩しても終わることのない戦争や人種差別。この世界を天国にするか地獄にするかは私たち次第。互いの違いを受け入れて許すこと。生まれ持った才能を皆とシェアできる豊かな心を持ち、理想の世界を彩れますように」とコメントを寄せる。
現在の営業時間は11時~20時(最終日は28時まで)。入場料は、一般=500円、学生=300円、小学生以下無料。今月22日まで。