ドイツ発屋内垂直農法「Infarm(インファーム)」で育てる野菜の販売が1月19日、表参道・青山通り沿いの商業施設「AO」地下1階のスーパーマーケット「紀ノ国屋インターナショナル」(港区北青山3)で始まった。
2013年に独ベルリンで創業したInfarm -Indoor Urban Farming GmbHInfarm(以下、Infarm)社が展開するインファームは、IoT(モノのインターネット)や機械学習技術を活用したユニットで野菜を栽培する農法で、現在スイスやイギリス、フランス、アメリカ、カナダなど9カ国で展開している。
店頭に置く栽培ユニットで野菜類を生産できることが特徴で、流通過程で生じる廃棄ロスやCo2の削減ができ、消費者には新鮮な野菜を届けることができる。都市生活者が多い現代において、生鮮を販売するスーパーなどで野菜類を生産する新たな地産地消モデルとなる。
アジアでは初導入となる今回。当初から日本への展開も視野に入れていた中、2018(平成30)年から日本での展開に向け本格稼働し、昨年2月に独Infarm社の100%子会社のInfarm-Indoor Urban Farming Japan(渋谷区渋谷2)を設立。紀ノ國屋(新宿区)の親会社である東日本旅客鉄道(JR東日本)と資本提携をし、国内で導入するため準備を進めてきた。当初、昨夏から導入を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を踏まえ延期していた。
紀ノ國屋の旗艦店であることや、ロイヤルカスタマーが多いことなどから、同店から導入することを決めた。同店には、食にこだわりのある人や近隣に構える飲食店のシェフも来店することから、そのような層への需要も見込む。
店内に配備したユニットは幅約2メートル×高さ2メートル強×奥行き約1メートルで、設置面積は2平方メートル程度。苗を植えるポットを4段組み合わせた最も小型のサイズだが、約200平方メートルの畑と同等の生産量を持つ。農薬を使わないほか、LEDの照明と水耕栽培を取り入れ、従来の農法と比べ水の使用量は95%、肥料使用量は75%削減できるという。ユニット内の温度や湿度などの調整は遠隔で行う。
都内に構えるハブと呼ぶインファームの栽培拠点で種から育てた苗を同店に運び、収穫までの育成を店内のユニットで行う。週に2度、インファームのスタッフが苗の搬入と野菜類の収穫を行う。
客層などに合わせ現在はイタリアンパセリ、イタリアンバジル、ミント、パクチーの4種類(1束15~20グラム程度、各257円)を提供。根が付いた状態で販売することから、花束のような装いに仕上げる。国内で取り扱う品種としてはレッドロメインレタスや、わさびルッコラなど数種類を束にする「サラダブースター」なども用意するほか、世界各国では60種類強を生産・販売していることから、今後消費者の動向などに応じて、扱う品種は変えていく予定。
現在の営業時間は9時30分~20時30分。