プロバスケットボールチームのアルバルク東京(以下、A東京)とサンロッカーズ渋谷(同、SR渋谷)が1月13日、「第96回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」3次ラウンド(準々決勝)を戦い74-73でA東京が勝利した。
両チームが所属するプロバスケットボール「Bリーグ」をはじめ大学や社会人チームなどが参戦し、「負けたら終わり」のトーナメント形式で戦い日本一を決める天皇杯。昨年優勝したSR渋谷は連覇を懸けた戦いとなっていた。
試合立ち上がりから火花を散らした両チーム。SR渋谷はチームスタイルとしてリーグ戦から徹底しているボールマンへのプレッシャーを掛けていく。A東京は空いている選手へパスを回しワイドオープンの3ポイント(P)シュートを放つが決めきれず流れをつかめない中、SR渋谷は3Pを高確率で決めるなどしてリードを奪う。第2クオーター(Q)にはSR渋谷の山内盛久選手がフローター(ふわっと浮かせるシュート)で連続得点したりアシストしたりチームを引っ張り、一時9点差を付ける。しかしA東京はSR渋谷が強みとするオフェンスリバウンドを抑え攻撃につなげ、小酒部泰暉(おさかべ・たいき)選手の3Pなどで追い上げを見せ、38-40で前半を折り返した。
後半は拮抗(きっこう)した展開となり、試合終盤までシーソーゲームとなった中、残り約1分からは1点を争う展開に。残り15.9秒からのSR渋谷の攻撃では、直前のタイムアウトでの指示通り、A東京の日本人選手がディフェンスに付いていたミスマッチを生かしたライアン・ケリー選手がリングにアタックし得点を挙げた。しかし試合はそこで終わらず、残った時間は5.9秒。「最後は自分が打とうと思っていた」というA東京・田中大貴選手がスローインでボールを受け取ると自らボールを運び打ったミドルレンジのジャンプショットがブザービーターとなり勝利を引き寄せた。
ディフェンスに付いていたのが、大学の後輩でもあるベンドラメ礼生選手だったこともあり「左に行くのは若干読まれていたと思う」としながらも、身長では田中選手が上回っていることから「ブロックされることは無い」と判断。「間合いを作ってシュートが打てれば」とイメージしサイドにステップし、ベンドラメ選手が転倒したこともありノーマークの状態でシュートを打つことができた。この日は、シュートアテンプトが少なかったことやフリースローを2本外すなどし「正直、良い状態でプレーできていなかった」ことから、「入るかどうか分からなかったが、逆に開き直って打ったのが良かったのかな」と振り返った。
「一発勝負を勝てて本当に良かった」と勝利を喜んだのはA東京・安藤誓哉選手。「渋谷のプレッシャーは、分かっていてもインテンシティーが高くてターンオーバーも多かった」と言い、この日は同じポイントガードの津山尚大選手が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受け療養中で出場できなかったこともあり、「尚大がいない危機感もあったが、尚大の分もという思いもあった」と話した。
SR渋谷は試合後の選手インタビューの対応はなく、伊佐勉ヘッドコーチのみが報道陣の取材に応じた。「戦えはしたが勝ち切るまでには至らなかった。負けて悔しいが非常に良いゲームだった」と振り返り、「最後の場面は田中選手がさすがのパフォーマンスでよく決めた」と称えた。
天皇杯ファイナルラウンドは3月12日・13日、さいたまスーパーアリーナで開催される。A東京の準決勝の相手は宇都宮ブレックスとなる。