年の瀬も近づいた12月25日、長谷部健渋谷区長は年末年始のカウントダウンを目的とした来街の自粛を呼び掛けた。
例年年末年始には多くの来街者が集まることで知られる渋谷。コロナ禍の今年は、渋谷駅に乗り入れている鉄道各社は終夜運転を行わないほか、初詣客が多く訪れる明治神宮が大みそかの終夜開門を74年ぶりに自粛するなど、各社・各所で新型コロナウイルス感染症の流行防止策が講じられる。区は、渋谷区商店会連合会や渋谷駅前エリアマネジメント協議会と実行委員会を結成し、2016(平成28)年から行っているカウントダウンイベントの中止を9月に発表していたが、「今一度やらないことを伝える必要がある」とメッセージを発信した。
12月31日18時~1月1日5時は、駅周辺の路上で飲酒を禁止する条例を施行。駅周辺のコンビニエンスストアや小売店などには酒類の販売を自粛するよう依頼している。本年度はさらに、31日に屋外ビジョンの上映を通常より1時間早い23時に停止する要請をし、渋谷駅前をはじめバスケットボールストリートや井の頭通り沿いなどの渋谷センター街、タワーレコード渋谷店脇、渋谷スクランブルスクエア外壁など14カ所の屋外ビジョンが応じることが決まっている(今後増える可能性あり)。当日は、区の職員が民間の警備会社と共に見回るほか、警察とも連携し警備を行う予定。
区では、イベントは行っていないながらも多くの人がが集まるハロウィーンにも来街の自粛を呼び掛けたが、昨年に比べ人出は「半分くらいだった」と一定の効果をうかがわせ、カウントダウンに集まる人たちは約7割程度が観光客を含む外国人だったことから、今年は人出が減少すると見込む。
長谷部区長は「何か楽しめる用意は全くしていない」とし、「力を合わせて乗り越えたいので、自粛したかたちで静かな年末年始を過ごしていただくご協力をお願いしたい」と呼び掛ける。「初詣には行かれた方が良いと思うが、三が日にこだわることなく、時間をずらすなど工夫していただければ」とも。
街なかの飲食店は厳しい状況が続くが、区も参画したクラウドファンディング事業や、区内の飲食店を紹介する「美味(おい)しいしい渋谷区」などで支援を図り、区民らにはデリバリーなどの利用も呼び掛けている。