Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月20日、年内最後のホーム戦を青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で戦い、広島ドラゴンフライズ(同、広島)を89-81で下した。
試合の立ち上がりは強度の高いディフェンスを見せ、リードを奪う。第2クオーター(Q)序盤には、オフェンスファウルを連続で取られるが、「自分たちのプレーを続けようと話し、しっかり切り替えができた」(石井講祐選手)と、関野剛平選手やベンドラメ礼生選手がディフェンスで広島のミスを誘発。オフェンスではベンドラメ選手からのパスでライアン・ケリー選手がアリウープダンクを沈めたほか、石井選手がセットプレーからフリーの3ポイント(P)シュートを決め広島にタイムアウトを取らせた。同Q後半は、広島の外国籍選手2人と帰化選手1人のビッグラインアップに対し、SR渋谷は交代のルーティーンで外国籍選手1人のラインアップとなった。「シュートは簡単に打てたが、エクストラパス(より良い状況でシュートが打てるようにするパス)してノーマークをつくろうとした」(田渡選手)と言い、スクリーンを使って外角のシュートで得点を重ね、一時17点のリードを奪った。
第3Qはターンオーバーが続くとともにシュートを決めきれず点差を詰められる。10点前後のリードで試合終盤を迎えるがターンオーバーから連続で得点を許し、残り約5分で5点差まで詰め寄られた。それでもベンドラメ選手が積極的にリバウンドに飛び込む姿勢を見せたほか、田渡選手がボールを奪うプレーでチャンスを作る。直後、「自分が打つチャンスがあるプレーでもあった」というセットプレーから石井選手がワイドオープンの3Pを沈めた。さらに、残り約35秒には「コーナーが空いているのは(プレーをしていて)分かっていた」と、田渡選手がノーマークになっていたベンドラメ選手へパスを通し、ベンドラメ選手が3Pを沈め勝利を引き寄せた。
広島には田渡選手の弟、田渡凌選手が在籍している。日頃連絡は取り合っているというが、久々の再会となり「元気にしていて良かった」と相好を崩した修人選手。この日は最終Qを中心にマッチアップする場面が見られたが、「凌だからというのは僕の中でもあったので、いつもよりちょっと気持ちが出たかな」とアグレッシブにディフェンス。「癖は知っているので、狙い目なのは分かっていた」と凌選手がターンをした瞬間に手を出しボールを奪いレイアップシュートを決めると、ベンチの選手たちからも「お兄ちゃん!」と声援が飛んだ。「気持ち良かった」と笑顔を見せつつ、「(凌選手には)負ける気はない。現役であるうちは勝ち続けたい」と兄としてのプライドを見せた。
勝利はしたものの、「安易なミスから流れを持って行かれ、いつものような悪いゲームになった」と苦言を呈した伊佐勉ヘッドコーチ(HC)。選手交代後に流れが悪くなる場面が見られ、「タイムシェアをしていて難しい部分はあると思うが、出るからには自分の仕事を全うしてもらわないと困る。責任感を持ってやってくれとは伝えた」と言う。修人選手は「ここ最近、交代するとリズムが悪くなる時が多いが、むーさん(伊佐HC)は信頼してタイムシェアをしているので、応えられるようにしたい」と話した。
チームは15勝8敗と東地区4位(勝率では3位と同率)につけている。石井選手は「負けが込んでいる時も我慢してめげずに続けてきた結果。気を抜いて崩すことは簡単なので、辛抱強く積み重ねていけばシーズンが終わるころにはもっといいチームになる」と、さらなる高みを見据える。伊佐HCは10月の3連敗に触れ、「あと2試合くらい勝っておきたかった」と振り返りつつ、「(やりたいことが)6~7割できている。いい状態」と手応えも示した。
SR渋谷は今節が年内最後のホーム戦となり、次のホーム戦は1月2日・3日の三遠ネオフェニックス戦となる。石井選手は「(新型コロナの影響で)開幕できるかどうかが分からないところから始まり、制限はあるが皆さんの前でプレーでき、段々と勝ち試合を見せられるようになってきたので、アウェー戦を勝ち切って年始のホームゲームに帰ってきたい」と意気込んだ。同6日に誕生日を迎える修人選手は「おめでとうの一言でも言っていただけたらうれしいので、待っています」と話した。