Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月6日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で新潟アルビレックスBB(同、新潟)を97-72で下し、連勝を3に伸ばした。
前日に引き続き体調不良の伊佐勉ヘッドコーチ(HC)に代わり、浜中謙アシスタントコーチ(AC)が代行を務めたこの日。前日の試合後、伊佐HCや他のAC含め「(1試合目を)勝っているからこそ何か仕掛けたい」と話したこと、序盤から新潟のガードにダブルチームを仕掛けにいくが、「(パスを)強調すれば破っていける」(新潟・福田将吾HC)とパスを回され、ワイドオープンのシュートで得点を許した。SR渋谷は「ペイントに侵入して良いチームショットを作っていこう」(浜中AC)とガード陣を中心にドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)から得点を重ねリードを許さない。
前日はタイムアウトを「経験の無さから取れなかった」浜中ACは第2Q、逆転を許したタイミングや点差を詰められたタイミングで「流れを断ち切るのが仕事」とすぐにタイムアウトを要求。拮抗(きっこう)した展開が続く中、ボールを奪う好守が続き8点のリードで折り返した。ハーフタイムで「オフェンスもディフェンスも我慢強くやろうと話し」(石井講祐選手)迎えた後半、流れを引き寄せたのはディフェンスだった。第3Q残り約3分で出場した広瀬健太選手は2本のスチールを見せ、ケリー選手はブックショット(シュートブロック)で新潟の得点を阻止。併せて、ケリー選手の3Pや速攻からの連続得点などで加点し72-56で最終Qに突入。最終Qはさらに得点を重ね、追随を許さなかった。
後半は高確率で3Pが決まったが、石井選手は「ペイントアタックを続けたことで新潟のディフェンスが収縮し、外でノーマークの味方を見つけることができた。シュートに至るまでの過程が良かった」と振り返る。自身も後半に3本の3Pを決めたが、第4Qには「ディフェンスがスイッチをして相手が下がった」のを見逃さずドリブルで自らのリズムを整え「余裕を持って」打つ場面も見られた。
この日は、今季最多となるアシスト27本をチーム全体でマーク。特にバイウイーク明けからパスをよく回すシーンが見られているが、「ボールマンとスクリーナー以外のポジション取り、動き出すタイミングなど細かい部分を分解し、共通認識を持って練習してきた。ちょっとした所が良いアシストにつながっているのは、(練習の)成果が出たのでは」とも。
浜中ACが「元々持っているポテンシャルが出てきた」と評価した盛實海翔選手は、得意の3ポイント(P)シュート2本を含む12点をマークした。「リングにアタックするメンタルで入った」と言う盛翔選手は試合立ち上がりから積極的にドライブを仕掛け得点を挙げた。コーチらが「(自分がドライブに行く)フォーメーションを多くセットしてくれた。自分はアタックするだけだった」と振り返った。
第2Q終盤には、ショットクロック8秒からのスローインでボールを受けると「もらった時から打てるタイミングで打とうと思っていた」と、ロングレンジの3Pを沈め場内を沸かせた。そのシュートが決まっていたことを受け、後半序盤には「思い切り打とう」とドリブルでディフェンスをずらし2本目の3Pを決めた。前日の試合後、「『手首に力が入りすぎている。もっと柔らかく打った方がいいんじゃないか』と父親からラインが来た」ことを明かし、「その通り打ったら入った。小学生の時から見てくれている父親のアドバイスは大きい」笑顔を見せた。「今日も見てくれていたと思うので良かった」とも。「アタックも入ったし外角も打てて、気持ち的にはこの試合を節目に今後の試合に臨めるのでは」と手応えをうかがわせた。
浜中ACは「昨日に引き続き12人で戦い抜けた。(スローガンの)『結』を掲げ、ファンの皆さんと一体となり戦い抜けたことに満足している」と総括。試合後のインタビュー時には、同級でもある田渡修人選手や山内盛久選手らが茶化すような様子を見せていたが、「どんな状況でもチームが一つにまとまれる要素があるなら、いじられキャラになるのは悪いもんじゃない。僕がメインで話すことがないので彼らの優しさかな」と笑った。
SR渋谷は、9日はレバンガ北海道、12日・13日はアルバルク東京とアウェーでの戦いが続き、19日・20日に広島ドラゴンフライズと同所で戦う。12月~1月のホーム戦には、「ブースター(ファン)と交流する機会が減り、何か楽しんでもらえる企画ができないか」と石井選手の発案で特別応援シートを用意している。「恐竜好き」の石井選手とマスコット・サンディーが恐竜に扮(ふん)したキーホルダー付きのシートで、石井選手は「キーホルダーのできが予想以上に良くて自分でも気に入っている」と話した。