Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月5日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で新潟アルビレックスBB(同、新潟)に85対67で勝利した。
伊佐勉ヘッドコーチ(HC)が体調不良のため浜中謙アシスタントコーチ(AC)がHC代行を務めたSR渋谷。浜中ACが代行を務めることが決まったのは試合開始約1時間15分前だったというが、伊佐HCとは他のACらを含め「どういうことをやるか再確認などはした」と言い、「自分たちの好きなようにやって良いよ、と肩の荷を下ろすような声掛けを頂いた」と話す。
新型コロナウイルス感染症が流行している中、プレシーズンマッチでは浜中ACらが指揮を執るなど「HCがいないということが起こる想定はシーズ前にしていた」とベンドラメ礼生選手は明かし、「無かったと言ったら、むーさん(=伊佐HC)が『何でだ』と思うかも知れないが、動揺は無かったかな」と言い、試合前には「こういう時代で皆も分かっていると思うし準備もしてきたから、気にせずにディフェンスして走る、俺たちのバスケットをして勝とう」と話したという。
試合の立ち上がりは連続で新潟に得点を許すが、持ち前のアグレッシブなディフェンスで約3分30秒得点を許さないと同時に得点を重ね一気に逆転。第2クオーター(Q)には、サイドライン際で新潟のミスを誘うディフェンスが見られたが、田渡修人選手は「センター(の選手)が良いショウ(スクリーンに行った選手をマークしていている選手がボールマンにプレッシャーを掛けるディフェンス)で出てくれたので(サイドに)追い詰めることができた。自分たちのディフェンスのスタンダード」と手応えをうかがわせた。その田渡選手は同Q終盤、ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手のアリウープダンクを演出。自らのシュートや逆サイドへのパスなど「いろいろな選択肢があった」中、「マック(マカドゥ選手)がずっと良いダイブをしていて、目が合ったので出したら、ちょうど良いパスになった。気持ち良かった」と笑顔を見せた。
15点リードで迎えた第3Qには、チームで5本のスチール(ボールを奪うプレー)を見せた。同Qで2本、試合を通しては4本スチールをしたベンドラメ選手は、「(新潟の選手が)プレッシャーを嫌がって、悪い体勢から緩いパスが飛んでいるのを感じていたので、積極的に狙おうと思っていた」と振り返った。
最終Q序盤には20点のリードを奪ったが、その後得点が停滞し12点差まで詰められた。ベンドラメ選手が連続で得点を挙げ、残り約3分には田渡選手がドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)からのチャールズ・ジャクソン選手をアシストし、点差を16点に広げると、残り1分45秒からはタイムシェアをし試合を締めた。田渡選手は「自分で打っても入ったが、その時にこれまたCJ(ジャクソン選手)と目が合って。確実に決めてくれるし、より良いかたちで打たせてあげよう」とパスを選択。「良いパスが出た」と満足気な様子を見せた。「得点ファーストは変わらないが、より良い選択ができればいい。それが今日はパスだった」とも。攻守で貢献した田渡選手は「バイウイークでディフェンスを分解して見直し良くなった手応えがあった。オフェンスも見直し、良いパス回しができるようになり思い切りシュートが打てているし、タッチも良くなっている」と好調さをうかがわせた。
試合後、「結果が出てほっとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべた浜中AC。「自分の中では、プレーの指示やコミュニケーションは一人の判断ではなかった。組織で戦えて結果が出た喜びと感謝の意で自然と出た」と試合後には選手や他のAC陣らと握手を交わした。「サンロッカーズの組織としての強さ、(チームスローガンの)『結』の精神で、選手、コーチ陣、スタッフ、皆で総合力を高めて、普段では起こりえない状況に立ち向かって結果が出せたのはうれしい」と喜びを表現した。
1度もタイムアウトを取らなかったが、「後半は取るタイミングがあったと思うが、経験の無さから取れなかったというのが、半分正直な所」と言い、「タイムアウトを取ろうと思った時に、選手が気持ちを一つにして立ち直ってくれた所が何回もあったので、本当に感謝している」と話した。ベンドラメ選手は「オフェンスが悪いのを引きずらず、ディフェンスから立て直せば流れが来るし、俺たちは何回もそれで勝ってきたと話していた」と振り返り、「(普段は)むーさんの声掛けで気付かされる事が多いが、いない中で自分たちで立て直せたのはチームとしてレベルアップできたのでは」と続けた。
両チームは6日も同所で戦う。田渡選手は「チーム一丸となって『結』の精神で戦っていきたい」と意気込んだ。